2022年12月9日金曜日

浅見光彦シリーズ31「箸墓幻想」(2012)

浅見光彦シリーズ31「箸墓幻想」(2012 TBS)を9月にBSで再放送していたのでチェックした。主演は沢村一樹。これが沢村浅見光彦の最終作品。テレパック製作で脚本は石原武龍、演出は村上牧人。

内田康夫(1934-2018)が生み出した名探偵浅見光彦シリーズはテレビ各局がドラマ化しているのだが、自分は今までただの1回も見たことがなかった。
自分は浅見光彦を市川崑映画版での榎木孝明しか見たことない。辰巳琢郎、中村俊介、速水もこみち、平岡祐太、どれも視界の片隅で「あ、やってるな」ぐらいでしか認識したことがない。

ちなみにこの「箸墓幻想」を見てみようと思った理由は「箸墓」に関心があったから。
この墓は卑弥呼の墓ではないか?と昔から言われてるけど、崇神系の王朝と邪馬台国はまったく関係がないと自分は思ってる。

画紋帯神獣鏡が1枚土の中から見つけただけで考古学者として生涯安泰?!鏡1枚見つかっただけで歴史的発見?手柄の横取り?
びっくりした。まるで内容が薄い。浅見光彦の恩師とでもいうべき老考古学者北村総一朗の謎の死、そして草笛光子、松原智恵子といった老人たちによる過去の思い出話に終始。

だが、愛の悲劇とでもいうべき登場人物たちの若き日の再現VTR的な映像が一切なく、本人たちの独白説明のみだったことはさらにびっくり。そのへん、自分は肯定的だが、低予算ドラマをさらに地味にしてる。

浅見光彦は旅行雑誌のルポライター。たぶん薄給。交通費もらって取材先で毎回事件に巻き込まれ、手弁当で聴き込み捜査までしていたのではお金が足りないだろうと思う。30歳ちょっとで兄(警察官僚)夫婦の自宅に居候なので出費はかからないだろうけど。

この人、毎回事件を嗅ぎまわって警察官から「怪しいやつ、署までちょっと来い!」というシーンが必ずある。今回は恵俊彰課長が散々バカにする発言をした後に兄(風間杜夫)が警察庁刑事局長と判明し「ははーっ(汗)」となる犠牲者。このシーンがまるで水戸黄門で毎回嫌悪感。

警察がこのシーンのみでまるで存在感がない。連続殺人が起こっているというにまるで捜査してる感じがない。北村総一朗が毒を飲んで山中で死体となって発見されたというのに手帖も押収していなくてそのまま。鶴田忍の威張ってるだけで何もしないダメな偉い人感がリアルすぎる。
老人たちの若き日々の悲劇がセコくてショボい。ほぼ叙情のみのドラマで見どころもない。
ただ、浅見光彦が甘い笑顔でおじさんおばさんたちから好かれるという点において、探偵として有理だなと感じた。
大学で「万葉集」を専攻した光彦であっても、箸墓の名前の由来を知らないものなのか。

何も刺激がなかった。もう浅見光彦テレビドラマシーズを見ようとは思わないかもしれない。内田康夫はもうよほど評判の良い本しか開かないと思う。

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