2022年12月7日水曜日

長澤まさみ「シン・ウルトラマン」(2022)

「シン・ウルトラマン」(2022 東宝)を見る。自分としては日本映画として今年最大の話題作。企画・脚本は庵野秀明、監督は樋口真嗣。「シン・ゴジラ」が大好きな人はみんな待ちわびた映画。

たぶんこの作品を劇場で見た多くがリアルタイムで「ウルトラマン」を知らない世代。自分もなんとなくしか知らない状態で見る。自分は近年の「ウルトラQ」や「ウルトラセブン」BSプレミアム再放送でいくつか見て知ってはいる。

開始から西島秀俊班長率いる「禍特対(カトクタイ)」の「禍威獣」出現地点での仕事ぶりと活躍が、字幕入り駆け足映像で示される。序盤はずっと旧サントラを利用?独特の音楽とテンポとテンションでわくわくできる。
そこに公安調査庁から浅見弘子(長澤まさみ)が分析官として着任。出勤シーンが後姿を捕らえたカットで禍特対のデスクに就くところまで、独特の変態カットと演出。

このキャラがとても良い。有能な人材なのに天然さも感じた。アニメや特撮に出てくるような単純デフォルメキャラ。怒ったり、よっしゃーと喜んだり。とにかくまさみが可愛い。

神永新二(斎藤工)という無口で単独行動をとる男と浅見はバディを組む。
台詞とカットと演出と間合いがC級映画のように独特。無二の個性。
この映画を劇場で見る人は庵野秀明と樋口真嗣を十分知ってそうなので、全員ポカンと口を開けて困惑という事態は起こらなかったに違いない。
それでもやっぱりコントっぽさを感じた。まるでマンガのよう。
この感じ、以前どこかで体験したな…と思った。まさみオタは「値踏みカメラ」を連想したかもしれない。

長澤まさみのカットも異常。人によっては気持ち悪いらしい。なぜそこでそう撮る?なぜ尻を叩く?だが自分はそんな演出が何も気にならずに見れた。巨大まさみシーンはそれだけで面白い。
正直、今まで見てきたまさみドラマまさみ映画で一番楽しめたかもしれない。スーツ姿で活躍するまさみが眩しかった。激務で家にも帰れず風呂にも入れないという設定なのにずっとキレイ。

トム・クルーズの「宇宙戦争」を見た後だと、話し合いの余地のある外星人(宇宙人)が新鮮。
友好的に地球と交渉(なぜかまず日本に)してくるザラブ。ウルトラマンに地球人類を滅ぼす相談と秘密を打ち明ける。巻き込まれる日本政府と各国との外交。こういうの、特撮オタとか大好きだな。

外星人とウルトラマン、ゾフィー、ゼットン、話のスケールが地球人類の存亡をかけた神々の戦い。こんな世界観の話だったのか。
ゼットンの質感に感心した。宇宙規模、気象規模の事案は人々は地上からあんな感じで見守るしかない。あれは怖い。
そのわりに各会話シーンが面白い。会話がずっと上滑りしていて面白い。自分が死ぬかもしれない危険な状況なのに、禍特対のメンバーたちがわりと無表情で面白い。
いくら厳密な法律用語、科学用語を連発しても「激ヤバ光線」の一言で台無し。

一仕事終え(といってもウルトラマンがすべてやってくれたのだが)、そこに所在不明だった無表情神永がというシーンでは、何爽やかに挨拶しとんねん!そりゃみんな戸惑うわ!と思った。

メフィラス山本耕史が何か話すたびに面白い。「私の好きな言葉です」を繰り返すたびに、「何回言うねん!」とつっこんだ。詐欺師にしか見えない。この映画自体、何度つっこんだかわからない。

地中貫通爆弾をアメリカ軍から購入する件。1発いくらするのか日本国民として気になった。税金で買ってるミサイルを1発も無駄にするな!と思った。
この企画を初めて聞いたとき、どんな映画になるのかまるで想像がつかなかった。こんな映画になるとは驚いた。
何度も笑える箇所があった。ほぼもし日本に怪獣が出現したら?というコントだった。「非常にやっかいだな」を2回繰り返すシーンも静かに笑った。
それほど興奮したりハラハラしたりはしなかった。シン・ゴジラほどには興奮せず、むしろあっけにとられた。ウルトラマンへの愛を感じる楽しい映画だった。

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