2022年12月22日木曜日

新名智「虚魚」(2021)

新名智「虚魚 そらざかな」(2021 角川書店)という本をきまぐれで読んでみる。
第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作である旨オビに書かれている。たぶんジャンル的にJホラー。

怪談師である主人公ヒロイン三咲(たぶん30歳ぐらい)は幼少時に交通事故で両親を亡くしてしまう。以後、事故の原因となった相手を合法的に殺すための呪いと祟りの方法を探している。
三咲には同居人がいる。道で拾ってきたカナちゃんという20歳ぐらいの女の子。この子は三咲に祟りで殺されてもいいと一緒に住んでいる。三咲の実験台になろうとしているカナリアなのでカナちゃん。

釣り上げると死ぬという魚の噂を求めて、静岡、長野の各地を聴き込み大捜索。怪談都市伝説の源泉を探る。
それはどうやって発生し変形し伝播していったのか?類似の事例と結びついたりと、怪談都市伝説の形成過程への著者の考えが示されている。川沿いに伝わっていくというのが新しい。

ミステリ要素もある。意外な展開を見せる終盤。みんな子どものころのトラウマや罪悪感を引きずって悩んで生きている。

新人による作品にしては登場人物他キャラたちの描き方が洗練されていて、読みやすくイメージしやすかった。
だが、日本ホラー映画でよく見るような、ふわっとしたモヤモヤ着地。意味不明に死体が見つかって怖い…というか、自分はそれほど怖さは感じなかった。
読んでる最中はそれなりに面白かったのだが、自分としてはそれほど気に入ってない。単に自分とは合ってなかったかもしれない。

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