2022年12月27日火曜日

森田芳光「家族ゲーム」(1983)

映画「家族ゲーム」(1983)を見る。監督脚本は森田芳光。原作は本間洋平の同名小説(1981)。この映画がATG映画だって今まで知らなかった。

受験に振り回される家族の存在をシュールかつコミカルに描いてる。1983年に鹿賀丈史で2時間ドラマ、同年に駆け出しシンガーソングライター俳優長渕剛で連続ドラマ化もされている。2013年には櫻井翔で連ドラリメイクされている。

森田監督が新進気鋭の大注目若手監督だったころの映画。当時はかなりの話題作。
主演がなにせ松田優作

伊丹十三由紀さおりによる沼田夫妻(団地)の次男茂之(中3)宮川一朗太がもう一人の主人公。この中学生が変わってるどころか奇人。
出来のいい兄慎一と比較されがち。弟は集中力がないし勉強に身が入らないし順位がクラスで下から9番。

家庭教師吉本(松田優作)が沼田家にやってくる。こいつがファーストコンタクトから気持ち悪い。名状しがたい迫力。変人で態度のデカい大学7年生の型破り家庭教師役。
(松田龍平は会話のトーンと間合いがとすごく似てる。体型も似ている。)

カウンターのような横長食卓でのギッシリ列席食事シーンが異常だと当時から話題。なんで?とにかく異様。 
見た誰もが「最後の晩餐」を連想。強烈なインパクト。なぜ家庭教師が真ん中?!
それに父と家庭教師の会話がなぜか駐車してある車の中。家庭教師の成功報酬について話し合う。

国語教師が伊藤克信さんだ。若い。この教師はテストの成績が悪い順に返してくる。答案用紙を窓の外に投げる。こういうの今なら許されない。昔の大人はとにかく目下の者に威張ってた。
英語教師が鶴田忍さんだ。この人はこんな昔からおじさん教師役だ。

吉本の指導がすごく雰囲気悪い圧迫面接スタイル。勉強の指示するだけで教えてない。なぜかいつも植物図鑑を見てる。ナメてかかる茂之には一発張り手。
沼田家と同じ棟に戸川純さんがいてびっくり。

沼田兄は高校生で同級生女子の家に遊びに行くのだが、バカっぽい話し方の典型的な80年代女子。両親に挨拶した後に部屋に行くのになぜかエレベーター。いろいろと意味不明なヘンテコ演出を選択してる。

茂之は土屋という男子生徒とその仲間たちからイジメられている。吉本は茂之にケンカを教える。
なぜか茂之の成績は上がっていく。兄と同じ高校の合格ラインに達したらしい。だが茂之はランクの低い高校に行きたがる。その件で夫婦は口論。
吉本は母から懇願され志望校変更のため担任に会いに行く。茂之のクラス担任が故加藤善博さんだ。生徒にも父兄にも態度がでかい。典型的な80年代中学教師。

茂之は結局上位ランク志望校に合格。沼田家としたらこの家庭教師を選んで正解。家庭教師を真ん中に挟んで合格祝いの祝宴。
やがてコントのようなカオス。ラストでは意味ありげなヘリコプターの旋回する音。なんか舞台演劇っぽい会話劇。

正直この80年代センスのシュールさがそれほど面白く感じない。ヘンテコに終始してた。ちょっと気持ち悪かった。今この映画を見る価値はそれほど見いだせなかった。
伊丹十三さんと由紀さおりさんが相応しい良い芝居をしていたように感じた。

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