2022年12月25日日曜日

梶尾真治「おもいでエマノン」(1983)

梶尾真治「おもいでエマノン」(1983)を2000年徳間デュアル文庫で読む。
この本に関して何ら知識がない。タイトルも聞いた事なかったし、梶尾真治という作家も知らない。友人の本棚にあったので借りて読んだ。どうやら8本の短編から成るSF作品らしい。
「おもいでエマノン」の初出は「SFアドベンチャー」1979年12月号。そんなに昔の小説だったのか。

1967年、九州へ向かうフェリーでSF好き主人公青年大学生はその少女エマノンと出会う。瞳の大きな彫の深いそばかすのある異国風の顔立ち、胸まである長い髪、ジーンズに粗編みセーター、「E.N」と書いてあるナップザックを持ち、タバコを吸う。昭和25年生まれの17歳らしいのだが、話を聴くと、地球に生命が誕生して30数億年の記憶を受け継いでるらしい。

その設定は同じで、各短編にこのエマノン(NO NAMEを逆に読んだもの)を名乗る少女が登場。ときに別の名前だったり、見切れるように時空を超えて登場。
それって世界観的に「ジョジョ」みたいなものか?「火の鳥」か?

それだと歴史の謎とか質問してみたくなるけど、エマノンは行くあてのない旅人?体験したことしか知らないっぽい。

見たことも聞いたこともない設定で特異で面白い。「おもいでエマノン」「とまどいマクトゥーヴ」「うらぎりガリオン」「しおかぜエボリューション」あたりはオムニバスで実写映画にできそうなのだが、今日まで映像化作品の存在を知らない。自分は実写映像がいきいきと脳内再生された。映像化のプランやアイデアも浮かんだ。
調べてみたら、この徳間デュアル版でイラストを描いている鶴田謙二によってマンガになってるらしい。なぜアニメ化やドラマ化されてないのか?

サスペンス、ときにホラー映像っぽさのある叙情的なSF文芸。どの短編も味わい深い。表現が平易なのでジュブナイル向けだったのかもしれない。

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