今年も色々と本を読み映画を見たりしたけど、個人的に最も衝撃だった出会いがセルゲイ・パラジャーノフ監督によるソ連映画「ざくろの色」を見たことだった。
自分、高校生のころからなんとなくパラジャーノフとその異様に強烈な色彩と異国情緒が斜め視界に入ってたけどなかなか見る機会もなかった。数年前にレストア版という、それまでになかった修復を施したVer.がDVD&ブルーレイ化された。見る困難さのハードルが下がった。
セルゲイ・パラジャーノフ(1924-1990)は現ジョージアのトビリシに生れ、モスクワで映画、舞台演劇、音楽を学び、アルメニアで映画を撮ったソ連を代表する映画監督。
18世紀アルメニアの吟遊詩人サヤト=ノヴァ(1712-1795)の幼少時から、宮廷詩人となった青年期、王女に恋して王宮を追放され修道僧としての最期までを、圧倒的な映像イメージで絵巻物タペストリーのように綴った78分の映画。(民族主義的すぎるとソ連当局にカットされ永遠に見れなくなった箇所多数)
自分が今まで見たあらゆる映画とまるで違っている。ほぼサイレント映画のようだし、舞台演劇っぽい。西アジア特有の細密画のような奥行きのない平面的な画面構成。主要キャストの役者(ソフィコ・チアウレリという女優が一人三役してる)たちの表情がほぼ無。暗喩表現を多用。
18世紀カフカスの風俗、衣装、文化がほぼ中世。
アルメニア正教とビザンツ帝国の様式、イラン、トルコの文化は日本人になんら馴染みがなくて見ていてひたすら困惑。とにかくエキゾチック。ほぼ他の惑星。
ヤギの屠畜シーンがあるので「動物に危害を加えていません」という表示はできない。たぶん「スタッフ全員で美味しくいただきました」としないといけない。
現代日本人にはまったく意味のわからないシーンが少なくない。子どもが生まれて洗礼だとか、結婚だとか、葬式だとかはなんとかわかる。けど、修道院の中に大量の家畜というシーンはいったい何?!
ストーリーというものが一度見ただけでは理解が無理。サヤトノヴァという詩人に関する本を探したのだが皆無。パラジャーノフ監督関連書籍も探したのだが何も手に入ってない。
自分、まだ何もパラジャーノフに詳しくなくて焦ってる。今年の秋に池袋・新文芸坐でパラジャーノフ作品2作が上映されたのだが、行けなくて後悔。DVDじゃなくてブルーレイが欲しくなってきた。
「ざくろの色」しか見てないのでまだ何も語れない。「火の馬」(1964)と「スラム砦の伝説」(1984)「アシク・ケリブ」(1988)といったそれほど多くもない長編作品はいずれ見ておきたい。
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