山田杏奈主演「山女」がBSプレミアムで10月17日に放送された。事前に何らも予備知識がない状態で見た。NHK国際共同制作ドラマ。監督は福永壮志。脚本は福永、長田育恵。
山田杏奈が出てるのでチェック。「遠野物語」にインスパイアされたオリジナルストーリーだという。遠野物語は読んだことあるけど、もうあまり覚えていない。どの話がどうアレンジされているのかわからない。
18世紀末、冷害と飢餓に苦しむ東北の貧しい村が舞台。ひょっとしてそれは天明の飢饉?
永瀬正敏とその家族は先祖の起こした火事によって村では「とが人」とされている。
父と娘で墓堀や死体処理のような仕事をしてる。もう最初から生まれたばかりの赤子を「口減らし」のために殺す最悪なシーン。山田杏奈が布にくるまれた赤子の遺体を引き取り川に流す。「次は人さ生れてきたらだめだよ」
予想はしていたのだが、江戸時代の貧しい農村がとにかく惨めで暗い。
みんな貧しすぎて呆けたような顔をしてる。死んだような目で村長(品川徹、でんでん)らの指示通りに動く。
さらに惨めな生活をおくる永瀬正敏一家に村人たちの誰も同情したり親切にしたりしない。井戸に水を汲みに行くと「ここでくむな」「けがれる」と罵倒。
米の救援配布ですら与えられない。なにせ先祖の罪によって田畑を取られている。絶望。
米を盗んだ父の罪を背負ってヒロイン凛は山へ入る。神隠しにあったことにする。そして、夜の山の中で山男(森山未來)と出会う。
屍肉を貪って生きている。こいつは化け物のようだが、今もふつうにいる世捨て人では?
ヒロインはこの山男と一緒に生活。
山の祠より先は誰も入ってはならないのだが、獲物が捕れないマタギが立ち入って凛は目撃される。捜索隊が組織され凛は村に無理やり連れ戻される。山男はマタギによって狙撃。ずっと厚い雲に覆われた村を救うために凛は人身御供にされる。そうすれば永瀬正敏父は先祖の田畑を取り戻せる。「しっかりお勤めを果たせ!」
この父親がとにかく人間性が酷い。今ならバットで殴られる親。
そして最悪に怖い儀式。こういうの「TRICK」とか「ミッドサマー」で見るようなやつ。
そして奇跡。早池峰山は人々を見ている。だが、これは最悪でないだけでハッピーエンドでもない。
ずっと画面が真っ暗。気分が沈む。この時代に比べたら今の日本はマシかもしれないけど、貧しい庶民の生活が惨めなのは変わらない。
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