樋口有介「彼女はたぶん魔法を使う」を1990年の講談社単行本で読む。
カバー折り返しに著者の写真が掲載してあった。樋口有介ってこんな顔してたんだ。とは言っても30年前なので40ごろの顔写真。
これが元刑事で妻子と別居中のフリーライター探偵柚木草平シリーズの第一作。この人は初登場から30年ずっと38歳のままだった。
1990年の作品なので随所に80年代が見える。時代は電電公社からNTTになったころ。ケータイもない。パソコンで写真やデータをメールに添付してやり取りすることもない。そういう時代。
とある女子大生のひき逃げ死亡事故が、偶発的事故だったのか?それとも殺人か?を調査を始めると関係者が殺されて…という2時間ミステリードラマと言った感じ。
事件とその真相としては内容そこそこ。少しずつ真相が見えてくる多少の驚きはある。
今まで読んだものはすべて2000年以降の東京創元社刊だった。今回初めて1990年講談社版で読んだのだが、冗談やたとえ話が一時代二時代前で古くさい。でも、そのほうがかえって80年代を感じやすいかもしれない。
事件を調べる探偵(元刑事ライター)柚木草平と、なぜか20代美女ばかりの関係者との軽妙かつハードボイルドな会話。そこがこの作家の個性。
登場する美女たちが自分的には「きまぐれオレンジロード」のキャラとタッチで脳内イメージ。
自分、樋口有介の読み方がわかってきた。柚木の部屋での洗濯実況、料理実況、娘との会話実況などは華麗にスルーすれば、ゆっくり読んでも3時間で読み終わる。こういうのでいいんだよ的なライトでヤングな社会派ミステリー。対象年齢を若者にした松本清張。
魔法を使うのは誰なのか?と考えてしまいそうだが、樋口有介の場合、内容とタイトルがまるで関係ない。なので読み終わった後にタイトルから内容を思い出そうとしてもまるで思い出せない。
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