2022年10月18日火曜日

THIRTEEN DAYS(2000)

「13デイズ Thirteen Days」(2000)を見る。キューバ危機を題材にした映画なので合衆国史のお勉強も兼ねて見ておく。
監督はロジャー・ドナルドソン、脚本はデヴィッド・セルフ。
ケビン・コスナーというとJFKではケネディ暗殺事件を追う検察官、今度はJFKの大統領補佐官。時代は米ソ核戦争ギリギリ瀬戸際。繰り返される核実験で地球上は核物質汚染されていた。

1962年10月、U2偵察機がキューバのミサイル基地の写真を撮るシーンから始まる。
大統領特別補佐官ケネス・オドネル(ケビン・コスナー)が家族と朝食を取って豪邸から専用車でホワイトハウスに出勤する。これは実際にホワイトハウスで撮影されたの?というぐらい豪邸。
選挙戦のパーティー、ベトナムの話題などをジョン・F・ケネディ(ブルース・グリーンウッド)としてると、予定にない緊急の案件が持ち込まれる。ソ連が中距離弾道ミサイルをキューバに運び込んでる?!核戦争の危機がすぐそこまで迫ってる。合衆国の最高幹部会を招集。ここから数分間モノクロ映像。

ロバート・ケネディ司法長官(スティーヴン・カルプ がソ連に問い合わせたら「シラを切られた」という。テイラー統合参謀本部議長「ソ連が先生攻撃路線に路線変更したものと考えられる」「10日か14日で発射可能になる」

ラスク国務長官「ソ連が衛星国に核保有を許せば外交上恐ろしい事態になる」ケネディ司法長官「それはミュンヘンの二の舞だ」マクナマラ国防長官「空爆するならミサイル発射準備が整う前だ」JFK「ミサイルを取り除くのだ」
選挙戦で地方に出てる議員を呼び戻さないといけない。同盟国はどうする?奇襲空爆するなら秘密を保たねば。焦るホワイトハウス。
この映画、予想はしていたが重くるしい会議シーンの連続。合衆国の歴史上の人物たちが次々登場。

ディーン・アチソン元国務長官も呼び出して話を聴く。「ソ連を相手にするなら空爆に続いて侵攻作戦が必要」「キューバは破れるだろうが報復でベルリンがやられる」
JFKはピッグス湾作戦失敗のトラウマから奇襲に慎重。タカ派のテイラーやアチソンの提案も受けれないが、かといってソ連に譲歩もできない。その一方で選挙遊説もある。

軍関係者は奇襲やむなし。ロバートは奇襲に慎重。マクナマラがキューバ海上封鎖を提言。だがすでにミサイルが40基ある。
カーチス・ルメイ空軍参謀総長が空爆命令許可を求めてくる。それが唯一の道。封鎖とか生ぬるい。「共産主義者どもを粉砕しよう!」
JFK「でもソ連兵が殺されたら向こうは報復にくるだろ?」
軍関係者にとっては「弱腰ケネディ家がアメリカを滅ぼす」という認識だったらしい。

軍を大規模演習と称して動員を始めるのだが、マスコミも気づき始める。まだサリンジャー報道官には何も知らせていない。
ただの定例会談と称してグロムイコ外相と交渉開始。グロムイコも薄笑いでシラを切る。「防衛目的だ」グロムイコって英語できたんだな。

この時の大統領執務室がアイルランド系のみ。それ、知ってたことだけどちょっとびっくり。
マコーンCIA長官も奇襲攻撃を支持してくる。もう外交交渉の余地は残されていないようだ。「臨検(海上封鎖の別の呼び方)」か「攻撃」か?

軍事演習の雰囲気から「もしかしてキューバ侵攻するの?」という記者からの質問にオドネルは異常な剣幕でキレ散らかす。それ、かえってバレるだろ。
いよいよ新聞に出るというのでJFKは国家緊急事態に関する発表をテレビとラジオで行うと発表。アメリカ市民騒然。いよいよ戦争を覚悟。
発表直前オドネルは大統領の弱気を励ます。こういうドラマが本当にあった?

キューバに飛ぶパイロット中佐の元にホワイトハウスからオドネルは「決して撃ち落されるな」と電話するのだが、電話交換士もふさわしい口調のオペレーターを選ぶとか本当か?間違いなく意図を伝えるとはこういうことか。
翼に機銃で穴が開くけど良い証拠写真が撮れた。大統領補佐官じきじきのお願いに空軍パイロットがルメイや軍幹部の前で「撃ってこなかった」と嘘の証言?!この大事な時期に水爆実験も強行?

もし核ミサイルが飛んで来たら退避する猶予は5分しかない。海上封鎖臨検開始前日、オドネルは家族に電話で非難方法を指示。教会には告解の人の列。キューバ危機時のアメリカは市民もここまで追い込まれてたのか。

臨検開始。貨物船2隻、そして護衛の敵潜水艦も出現。現場海域もペンタゴンも緊張。
大統領は現場に電話。潜水艦を浮上させるため魚雷を投下する命令。だが直後に貨物船は停止。射撃命令は直前に取り消し。なぜ貨物船は停止し反転した?!
現場に張り付いてる大統領に対する軍幹部たちの眼がすごく冷たい。大統領は軍のトップを変えることはできない。もし更迭したら敵がそれをどう受け取るか?
自分が想像していたよりジョンとロバート兄弟には敵が多かった。大統領補佐官同士でも口論。ケネディ兄弟の父ジョゼフは嫌われてたのか。

国連で米ソ・キューバ非難の押収。ゾーリンVSスティーブンソンの国連大使同士の戦いをテレビ中継で見守る。「やれ!ソ連をやっつけろ!」
国連の会議中の国連大使を電話で交代指示とかできるのか?ソ連大使は口が達者だが、本国から何も知らされてなかった?
国連での丁々発止の間にも現場海域では艦砲射撃する瀬戸際。射撃命令を出そうとする海軍部長をマクナマラが必死で止める。「え、曳光弾?!」だがソ連が誤解したらどうする!

そしてKGB高官筋からフルシチョフと裏ルートでの交渉の誘い。それは信用できるのか?それとも罠か?急いで裏交渉を持ち掛けたフォーミン(スパイ)の経歴を調査。どういうコネで出世した?オドネルはフォーミンとフルシチョフは戦友だったと推測。この線はありえなくないぞ!48時間の猶予しかない。

しかし、それは敵の時間稼ぎでは?ソ連側でもフルシチョフがタカ派と争ってるのでは?失脚してるのでは?
もう先制攻撃しないとどんどん不利な状況になるかも。大統領も覚悟。
ついに米軍機がミサイルで撃墜。パイロットも生死不明。現場がいきり立ってる。この状況でまだ慎重姿勢の大統領に軍幹部は怒り心頭。
この状況でオドネルは息子のアメフトの試合を見に行ってる場合か。もう週が明けたら戦争だ。

ソ連大使館も書類を焼却処分し始めてる。ソ連大使館の女性も恐怖と緊張で泣きそうになってる。もう絶望ギリギリでロバートとソ連大使でトルコのミサイル配備を焦点に話し合い。

戦争を始めたい軍部VS戦争を避けたい大統領。ケネディ兄弟がいなければ米ソは核戦争になっていた。アメリカ政府はこれほどまでに知恵を出し尽くして対処した。合衆国の一番長い13日。
長い映画(145分)だったのだが、こういう歴史の現場ドラマ映画は必要。自分はあまり長く感じなかった。日本もこういう映画を作るべき。

こんなにも神経すり減らす激務してたら誰でも老け込む。キューバ危機の翌年にケネディ大統領はダラスで暗殺。国家を戦争直前まで追い込んだフルシチョフも信用を失い2年後に失脚。ロバート・ケネディは6年後に選挙戦中に暗殺。

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