2022年10月19日水曜日

岩波新書1773 シリーズ アメリカ合衆国史④「グローバル時代のアメリカ」(2020)

岩波新書1773 シリーズ アメリカ合衆国史④「グローバル時代のアメリカ」古矢旬(2020)を読む。このシリーズのラスト。「冷戦時代から21世紀」を扱う。著者は北大名誉教授でアメリカ政治外交史の専門家らしい。

最終第4巻がいちばん厚い。ベトナムとウォーターゲートの敗戦処理に終始したフォード政権、冷戦を終わらせたレーガン、そしてオバマ、トランプ政権までを扱う。
国内政治、経済、大統領選挙の争点、スキャンダル、党派間対立、支持基盤、法案などに重点を置いている。まるで大学の教科書のように固い内容で読んでいて正直それほど面白くはない。

ああ、そうだったのか…という感じで読む。子どものころから日々のニュースでなんとなく感じていたことを詳しく解説。
アメリカ大統領選挙は人工妊娠中絶とか同性婚とか、銃器規制とか学校礼拝推進とか、争点がまるで日本と違うなと思った。

90年代がグローバル化の時代だとすると2000年代はアメリカが帝国化した時代。ソ連が後退しアメリカが唯一の超大国。
クリントン政権は自分としてはスキャンダルが強い印象に残っているのだが、この本を読んだことで、クリントン政権期のアメリカはグローバル化が進みニューエコノミーと称される好景気に沸いて双子の財政赤字を解消していた…ということを学んだ。
その一方で国内は経済格差の拡大と、多文化主義的な自立集団の分立という二重の分断が進んだ。

ソマリアの「ブラックホーク・ダウン」、ルワンダ内戦と虐殺、ユーゴ紛争、イスラエルとPLOのオスロ合意、世界貿易センター爆破テロ、ケニア・タンザニアのアメリカ大使館爆破テロ、などなど、記憶にある恐ろしい事件はみんなクリントン時代に起こっていたということを改めて知った。
アメリカ社会に内在する暴力性も顕在化。人工妊娠中絶をめぐって反目し合う両陣営が暴力の応酬。さらにオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件も起こった。

そしてブッシュ政権での9.11テロとアフガン、イラク戦争。
オバマ政権、トランプ政権でのアメリカの新たな課題。このへんのことはつい最近の出来事で、歴史というよりもニュース解説という感じしかしない。
正直、自分には持て余すほどの内容とボリュームだった。そこまで詳しくなくてよかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿