2022年10月10日月曜日

広瀬すず「謝罪の王様」(2013)

「謝罪の王様」(2013 東宝)を見る。主演は阿部サダヲ。脚本は宮藤官九郎。監督は水田伸生。日本テレビ、シネバザールの制作。
この年の話題作ではあったのだがぜんぜん見たくなかった。今になって広瀬すずが出ていたことを知ったので見る。

冒頭から日本古来の謝罪方法である「土下座」をジョンカビラが解説する映像を映画館で見せられる。川口春奈が舞台あいさつで「別に」と発言してしまう女優を演じてる。チョイ役すぎ。

東京謝罪センター所長黒島譲(阿部サダヲ)が土下座を超える究極の謝罪「土下座の向こう側」を語る。もうフザケ倒した寒いコメディ。いつもの阿部。

case1のヒロイン倉持典子(井上真央)は帰国子女。ヤクザのベンツと交差点で接触事故なのにきょとーん顔で他人事。謝罪する習慣がなかったので謝罪のタイミングが遅れる。六角精児が暴力団側弁護士とか絶妙だが、中野英雄が組長とかしゃれにならない。黒島が大怪我しまくって相手の要求を軽減。

case2の主人公は下着メーカー社員沼田卓也(岡田将生)。あまりに軽薄なセクハラエロ男。仕事先の尾野真千子にセクハラをして共同プロジェクトを取り下げられ訴訟。とにかくみんなありえないほど非常識。
セクハラ訴訟で一流国際弁護士竹野内豊が登場。サダヲの土下座が通用しない。なのでコンフィデンスマンみたいな劇団手法で相手の良心に訴える。

case3 息子が傷害事件を起こした大物俳優高橋克実と大女優松雪泰子の夫妻(すでに離婚してる)。早急に謝罪会見を開かないといけない。みんなどこかで聞いたことあるようなケース。マスコミ相手の印象コントロール。そんなバカなという内容。
事件の真相が被害者のほうが圧倒的に悪くて笑う。こういうの音声を録音しておけ。てか、これぐらい無礼な人が存在したら怖い。

case4 一流国際弁護士竹野内豊の家族の物語。娘に手を揚げてしまったことを謝りたい。
試験勉強してるのに幼い娘がずっと一発ギャグをやっててイライラ。だが、その娘って…?!ミラクルな伏線回収してて驚く。

case5 映画が外交問題になってしまったプロデューサー荒川良々からの依頼。映画のいちシーンの背後にお忍びで来日してた某国皇太子が映り込んでしまった。岩松了監督がこだわり熱血指導のあげく肉食わせてビール。反日デモが起きてるのにそのシーンをカットしたくない。

皇太子が野間口徹とか、ブータンっぽい感じとか、通訳が濱田岳とか、エキストラの日本人に見えなさ加減とか、なんだこりゃ絶妙。
文部科学大臣小野武彦のガハハ失言大臣ぶりもファッションも麻生太郎ぽさが絶妙。
濱田マリ外務大臣が子どもに水鉄砲された段階で逆に日本側が「最大限の無礼だ」と逆にブチギレていいはず。「ビルマの竪琴」パロディが酷い。

この映画を見る目当てだった広瀬すずは映画の中の映画のワンシーンのみ数秒の出演でびっくり。
case6は主人公黒島譲が謝罪王になったラーメンエピソード。こんな面構えのラーメン店員っていっぱいいる。

日本企業の謝罪文化を徹底的に揶揄。日本社会自体を揶揄。
江華島事件のときの朝鮮とかこんな感じだったのかもしれない。日韓関係を揶揄してたのかもしれない。自分たちの文化における最大限の謝罪表現を文化のまったく異なる外国にも求めることの滑稽さを宮藤官九郎なりに風刺したのかもしれない。

宮藤官九郎が予想以上にはちゃめちゃ。劇団員としてこれまでの人生で経験した怒ってる相手をなだめる方法すべてをぶちこんだような世間をナメ切ったふざけきった内容。「あまちゃん」フィーバー後の公開。
ぜんぜん映画見てる感じがしなかった。スペシャルドラマでよかった企画。超絶くだらない。テレビではむしろやれなかった企画かもしれない。
脚本と同じぐらいにカット演出とカメラに感心した。

この世界に謝罪なんて存在しない気がしてくる。みんないちいち腹を立てるなよ。という宮藤官九郎からのメッセージ。
主題歌はE-girls「ごめんなさいのKissing You」。これがcase7。

2 件のコメント:

  1. 阿部サダヨ俳優さんドラマ映画舞台最高ですページで

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  2. 阿部サダヨ俳優さんは?YouTube メインチャンネル私

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