2022年10月13日木曜日

岩波新書1770 シリーズ アメリカ合衆国史①「植民地から建国へ」(2019)

岩波新書1770 シリーズ アメリカ合衆国史①「植民地から建国へ」和田光弘(2019)を読む。シリーズ全4巻の最初の巻を読む。著者は名古屋大教授でアメリカ近世・近代史の専門家らしい。
自分、あまりこのジャンルに詳しくない。ハリウッド映画を見てると登場人物たちが時々アメリカ建国から西部劇あたりの歴史上の人物名を挙げたりして会話するのを、なんとなく薄ら笑いを浮かべて見てるしかなかった。なのでじっくり読む。ちなみにこのシリーズはミュージシャンの高田漣さんも「読んでる」ツイートをしていた。

この本、まず「United states of America」という国号がいつ誕生したのか?というところから書かれている。その発想はなかった。
日本で合衆国と訳されたのは1844年アメリカと清の間で結ばれた望厦条約から?!

あと、西部劇でインディアンは馬に乗っているイメージがあったのだが、コロンブス以前に新大陸に馬はいなかった?!なんと16世紀以降にスペインが持ち込んだ家畜馬があっという間にアメリカ本土中に広まった?!
新大陸発見以前のヨーロッパ人はタバコも吸ってなかった?!(そういえば中世の人はタバコ吸ってないな)

そしてウォルター・ローリーによるヴァージニア植民地(ロアノーク島)開拓とその消滅の謎。新大陸で生まれた最初の英国人ヴァージニア・デアの行方。
そしてジェイムズタウン開拓でのジョン・スミスとポカホンタスの助命。ジョン・ロルフとの結婚。このへんは日本でいうと天孫降臨や神武東征と同じような神話。

ヴァージニアに黒人奴隷20余名が連れてこられたのが1619年。これが長いアメリカの闇の始まり。

1760年代にペンシルヴェニア植民地とメリーランド領主ボルティモア卿フレデリック・カルヴァートの合意によって引かれた境界(メイソン・ディクソン線)は現在の地図を見てもヘンテコ。

スペイン植民地と違って北米の英国植民地は金銀が産出せず金銀貨が不足。各国の通貨が流通。スペインの8レアル銀貨を輸入してスペイン国王の肖像の上にジョージ3世肖像を刻印してた?!
あと、英国の金銀貨には額面の刻印がなく価値判断は用いる人の自己責任?英国コインには時代がかなり下っても額面がないものが多い?!貨幣需要が高かった植民地では本国よりも硬貨が高値。(メキシコ銀の8レアル銀貨は南北戦争直前まで公的に通用してた?!)

タウンゼンド諸法、印紙税、ボストン茶会事件とか受験世界史を思い出す。
独立戦争の発端となったレキシントン・コンコードの戦い(1775)での「ポール・リヴィアの真夜中の騎行」とイギリス軍による無辜の民虐殺について、今まで自分は何も知らなかった。
1976年、トマス・ペイン「コモン・センス」を出版。イギリス国王の統治の正当性を否定。
トマス・ジェファソンは独立宣言文でジョージ3世への悪口罵詈雑言を書き連ねる。

世界最強の英国軍に対して果敢に戦いを挑んだ大陸側はワシントン将軍を擁立し、外国人義勇兵の活躍もあって、サラトガの戦い(1777年)で勢いづき、ヨークタウンの戦い(1781年)で勝利を決定づける。そしてパリ条約(1783)でアメリカ合衆国は独立。

アメリカ人は知ってるけど日本人はまったく知らない南北戦争以前のアメリカの有名人がベッツィ・ロス。星条旗の星が六芒星でなく五芒星なのは、星条旗をこの夫人が修正して作ったせい?!ワシントンが建国の父でベッツィが星条旗の母?!自分もまったく知らなかった。

あと、現在の米10ドル札肖像(アメリカ財務省前に銅像がある)になっているアレクサンダー・ハミルトン(父はスコットランド貴族の4男だが零落。西インド諸島ネイビス島出身で孤児)という人を自分は知らなかった。ワシントンの副官から実力者となった大政治家。第3代ジェファソン大統領2期目の大統領選挙で候補者に指名されなかったバー副大統領の恨みを買い決闘を申し込まれ銃弾を受け死亡。(以後、正副大統領候補を立てた選挙になる)

初代ワシントン大統領から第5代モンローまで、第2代アダムズをのぞいてすべてヴァージニアの奴隷制大プランテーション経営者。

1812年米英戦争ではワシントンを英国側に攻略されホワイトハウスは焼かれる。第2の独立戦争。マディソンの連邦派は以後勢力を失う。すぐに英国と関係改善。

1814年にフランシス・スコット・キーが「マックヘンリー砦の攻防戦」を目撃し書き上げた一編の詩「星条旗」が正式にアメリカ国家になったのは1931年?!

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