2022年10月27日木曜日

東野圭吾「11文字の殺人」(1987)

東野圭吾「11文字の殺人」(1987)を1990年光文社文庫(2015年68刷!)で読む。東野圭吾が人気作家の坂道を駆け上がる時期の初期作品をどんどん読んでいく。

付き合い始めて2か月の恋人が「命を狙われている」と仄めかした後に死体となって港に浮かんだ事件。推理作家の女性「私」が死亡したフリーライター恋人川津の遺品整理に立ち会うと、山森氏が経営するスポーツジムで会う予定時間のメモ書き。事件の日だ。

そこから調査していくと、1年前にクルーザーの事故で男性がひとり死亡していた。搭乗者に会って話を聴いているうちに、川津と組んでいたカメラマン女性も自宅で殺され、劇団役者も殺され、犯人から事件を嗅ぎまわるな!という警告。

これが読んでいてすごく古典的な王道2時間サスペンスミステリー臭がする。事故で恋人を亡くした女性による逆恨み連続殺人?

そして編集者の友人冬子と一緒に1年前のクルーザー事故メンバーと一緒に出向。Y島のホテルで冬子が崖から転落死亡事故。これは自殺なの?他殺なの?!

孤島で起こった不幸な事故の秘密を共有していた人々。殺人。そして真相をあばくヒロイン。
新犯人はまあ意外っちゃ意外だけど、自分は予想してなくもなかった。予想外なことはほとんど起こらない。こういうの、2時間ですらすらと読める。

連続殺人事件が起こっているのに警察がまったく存在感がない。一般人が聞き込み調査するだけでこれほどまで真相にたどり着いているというのに、素人調査の上を行かないし先行もしない。ありえないほど無能すぎ。何も動いてないし仕事してないとしか思えない。

東野圭吾はどれを読んでも何かしらの驚きを与えてくれるのだが、この本はそれほど驚けなかった。
そもそも「11文字の殺人」というタイトルがそれほど本の内容に合ってもいない。ラストの名刺の件はしばらく意味がわからなかったし効果的でもない。この本はあまりオススメしない。

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