2022年9月19日月曜日

福本莉子「しあわせのマスカット」(2021)

「しあわせのマスカット」(2021 BS-TBS)を見る。8月14日に突然BS-TBSで放送された。当日になって慌てて予約録画してチェック。(もしかするとカットがあるかもしれない)

正直、こんな映画があったことをまったく知らなかった。今作が福本莉子の初単独主演映画らしい。岡山ロケで撮影された映画。
製作はBS-TBSでケータイ刑事シリーズという駄作を連発した丹羽多聞アンドリウ。監督は吉田秋生。脚本は清水有生。

岡山県で国内シェア9割を生産するぶどうの女王「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を使った和菓子に感動するヒロイン相馬春奈が福本莉子。
なんだか冒頭から落ち着きがない。岡山市の通りで見知らぬ人にどすんとぶつかってる。もっと丁重に謝れ。
お金を落としたか忘れたかして小銭しかないのに高級ぶどうを買おうとするとか、お店の人にとって迷惑でしかない。
しょんぼり少女はマスカット和菓子なら小銭で買える!やった!おばあちゃんのお見舞いに持っていける!北海道から岡山に修学旅行に来ていたという設定だったのか。

祖母を喜ばすことができたことに感動したヒロイン福本莉子は岡山の老舗和菓子製造販売「源吉兆庵」の就職面接に向かうのだがやはり焦ってばかりで遅刻。
だが、長谷川初範社長がいい人。遅刻したからと無下に切り捨てない。面接で祖母との和菓子想い出エピソードを話して社長を泣かして即採用。おっちょこちょいだが常に笑顔。まるで朝ドラ。

研修中にもうっかりおっちょこちょいを発揮。同期たちが小馬鹿にしたように半笑いで嫌味。
店頭販売の現場でも必要以上にテンション高いしトーンが不適切。客も販売主任も困惑。
でも「アンタ、明日から来なくていいわ」とか酷い。適切に指導してないならできなくて当たり前。

連戦連敗ドジっ子シーンが見ていて苦痛。非常識ヒロインもそうだが受け入れるおおらかさのない社員たちも不快。人事部長が見るからに邪悪で下衆野郎。愉快そうに笑うな。なんて嫌な会社なんだ。ほぼパワハラ。
研修の結果、ぶどう農家に派遣。マスカット・オブ・アレキサンドリア生産農家の後継者を育てないと和菓子がつくれなくなってしまう?!

ぶどう農家竹中直人に「頼んでない。帰れ!迷惑」という酷い対応。無理に現場に押しかけてやっぱりドジっ子を発揮。しかもよく喋る。追い出される姿が哀れ。
たぶん近所の農家には虐待してるように映ってる。技能実習生とかもこんな感じだったかもしれない。
作業しながら優しく教えてやれ。何が正しくて何がダメなのか、どうしてそうしなければいけないのか教えてやれ。

こんな酷い目に遭うなら、自分でぶどう栽培して自分で和菓子つくって路上で売るほうがマシ。
岡山県の人はこんなにもよそ者に冷たいのか?この映画は岡山のイメージを悪くしないか?

近所のブドウ農家青年がとても優しくヒロインに接する。かわいいんだからそうなる。
何もわかってないヒロインを諭す。「人の気持ちがわからない人間に美味しいお菓子はつくれないんじゃないか?」もう絶望的に打ちのめされる。
源吉兆庵の社員たちが誰一人優しくない。むしろ嫌味なやつら。
見ていてひたすら気が滅入る。見ていて何も楽しくなかった。面白くなかった。

がんこ竹中は10年前に一人息子を交通事故で亡くしていた。心を閉ざしていた。だからって人に優しくできない理由にならない。
ブドウ栽培は10年で区切り。もうやめようか。そんなとき岡山県を西日本豪雨の災害が襲う。ヒロインは来ないでいいと言われた竹中の農園に駆け付ける。
そういうローカルヒューマンドラマ。なのにどこにも感動できない。
北海道の姉(カーリング選手)役が本仮屋ユイカさん。後半にこの姉と倉敷観光映像もぶっこむ。
岡山にもカーリング場があると知ってふたりでやってみるというシーンがある。ここは唯一の清涼剤のようなシーン。

見かねた姉が「北海道に帰っていっしょにカーリングしよう」
そっちのほうが幸せだろ。明るかった新入社員を暗く落ち込ませる会社なんて辞めろ。お姉さんの優しさに自分が感動w

どこにも「しあわせのマスカット」がなかった。何かもっと面白くなりそうな企画が他になかったのか。脚本がもっとどうにかならなかったのか。ひたすら見ていてイライラした。
感動のドラマにするアイデアも技術を何も持っていないように感じた。箸にも棒にもかからない映画すぎた。

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