2022年9月24日土曜日

永野芽衣「そして、バトンは渡された」(2021)

映画「そして、バトンは渡された」(2021 ワーナー)を見る。原作は瀬尾まいこ。監督は前田哲。脚本は橋本裕志。制作は日テレ、ホリプロ。主演は永野芽衣

小学生みぃたん(稲垣来泉)、計算高い魔性の女梨花(石原さとみ)、いつも笑顔の女子高生優子さん(永野芽郁)、競争が苦手の真面目メガネサラリーマン森宮(田中圭)、4人の駆け足紹介映像。
BGMの使い方といい、エレベーターに駆け込んだら定員オーバーのブザーという見飽きたエピソードといい、とにかく普通のホームドラマ映画感がする。退屈映画の予感がする。

開始5分すぎてやっと田中圭永野芽衣が親子であることが示される。田中圭の質感が何を見ても「あな番」。
エプロン姿の父が大きなキッチンで弁当も夕食を作ってくれる。「おかげでぜんぜん痩せない」とか言ってる永野は自分にはがりがりに見える。この親子は母親と死別?父と娘は血のつながらない他人?
高3の時期に卒業式合唱ピアノ伴奏をまかされた永野芽郁に異議を唱えて邪魔しようとする担任ってなんなの?

その一方、みぃたんの父親が大森南朋。異なる2つの家族を描いている?(自分はなんとなくドラマ構造に推測がついたが)
みぃたんの家にとつぜん梨花という見た目の派手な新しい母親石原さとみがやって来る。この妻がやたら明るくテンション高く浪費癖。小学生娘に派手な衣服を買い与える。何か裏に目的が?と思うほどみぃたんに愛情を注ぐ。

卒業合唱ピアノを音楽教師(朝比奈彩)にテストされるシーン何なの?この学校普通高校だよね。そんなにピアノが上手な生徒が何人も?永野は一時期短い間ピアノを習っただけ。

みぃたん父大森南朋はお菓子メーカーの会社員か何かか?突然自分のチョコレートを作る夢を抱いて会社を辞めブラジルに移住すると言い出す。梨花は移住を拒否して離婚。みぃたん大好き梨花は、「わたしたち完全に終わってる」など言葉巧みに大森だけブラジルへ送り出し、梨花とみぃたんの二人ぐらし。梨花は冷凍食品しかつくれない。父に会いたいというみぃたんは泣く。この母親がみぃたんにいつも笑顔でいることを教える。

ピアノ少年は早瀬君は岡田健史。高校生に見えない。母戸田菜穂は息子を音大に行かせたい。だが本人は料理人になりたい。ピアノ少年なのに憧れがロッシーニって意外だな。

優子の女ともだちたちがいつも笑顔の優子に嫌味。「男子たちに色目使ってる。」だまれ、ブサイクども!って怒鳴りつければいいのに。
ピアノが下手だとぶーぶー言うガヤクラス何なの?あのブスはなんでそんなに自信に満ち溢れたように何の疑問もなく優子を罵る?
萩原みのりも結婚して老けたなあ。

梨花とみぃたん母子が貧乏。だって母が働いてないんだもん。今日明日の米もない。パンのみみをもらってきて嬉しそうに食べる。
みぃたんがピアノを習いたいと希望。梨花はすぐに婚活パーティー。まるで音楽ホールみたいな邸宅(プールつき)に住む資産家老人(市村正親)と再婚。女ってすげえな。
この家庭が女中(木野花)つき。リビングにベーゼンドルファーのグランドピアノ。ピアノ家庭教師がやってくる環境。入門の段階でベーゼンドルファーって、そんなピアノ学習者はいない。
大金持ち市村もみぃたんにとても優しい。
だが梨花は「この家にいたら息が詰まる」と行方不明。みぃたんは泣く。

これから短大へ進んで栄養士になろうっていう優子のために、1500万の通帳を差し出しピアノを買って防音室のある部屋に引っ越そうとか言う。みんな無茶。お金に関して非常識。

義母の梨花はその後に森宮家も飛び出し、行方不明になっていた。
梨花はいきなり帰ってきたと思ったら高原でバイトし終末だけ帰ってくる。そんな約束を聴いてしまう金持ち市村も非常識。
そしてまた梨花は新しい結婚相手を見つけてしまった。それが東大卒森宮。連子がいることを告げてなかった。いったい梨花のどこがいいのか?もう明らかに美人局の手練手管。

現在と過去シーンがランダムに交互にやってくるドラマ映画がやたら多い。こういうの、何の効果がある?見る側が混乱して疲れるだけ。
なんでこんな編集をするのか?すごく長く感じる。
それに梨花の非常識ぶりと世の中を甘く見てる感じがおそらく見る人によっては耐えがたい。なんでこんなドラマを作る?
って感じたのがまだ映画の中間地点。

短大で資格を取りまくって就職したレストランが肌に合わずもんもんとしてまた小さな洋食屋でバイトの日々…。まあそういうもんだな。
高校の同級生早瀬くんと再会。早瀬は音大を辞めていた。こいつも現実感のしないデタラメ白昼夢男。こんな男と一緒になってもぜったい幸せになれないだろ。

男たちはみんな父親じゃないのになぜこうも連子に愛情を注げるのか?そもそもなぜ梨花はみぃたん(優子)をこれほど愛せるのか?
そして梨花から手紙と荷物が届く。優子は再婚相手の実家にいる父に会いに行く。

自分、瀬尾まいこを読む気がぜんぜん起こらない。娘を育てるために経済力のある男を選ぶ?女の子は男たちのバトン?薄っぺらい。まったくリアルでないファンタジー。
登場人物に感情移入できない。とくに森宮というキャラがありえない。なんだこれ?としか思えなかった。

脚本も演出も、感動を呼び込む上で何も効果的でなかった。感動作ふうの映画。まったくピンとこない。
終盤の男たちの語り合いシーンとか早く終われって思った。赤の他人の結婚式でそこまで感動できるか?
若い人たちがこんなドラマ映画を見て育ったら世の中がこんな感じだと思わないか不安。世の中全員こんなふうに優しい人たちだけだったらいいけど。

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