2022年9月13日火曜日

山田杏奈「ジオラマボーイパノラマガール」(2020)

「ジオラマボーイ・パノラマガール GEORAMA BOY PANORAMA GIRL」(2020)を見る。
監督脚本は瀬田なつき。原作は岡崎京子の80年代の連載マンガ。令和になってやっとの映画化。主演は山田杏奈と鈴木仁。制作はオフィス・シロウズ。配給はイオンエンターテイメント。PG12作品。

16歳の夏が終わろうとしてるヒロイン渋谷ハルコ(山田杏奈)は慌てて起きて高校へ向かう。わりとガサツっぽい。家庭が一般的集合住宅。なんか普通の日本の青春映画っぽい。

そして別のメガネ男子高校生ケンイチ(鈴木仁)は試験中に突然学校を辞める宣言して教室を出て行く困った生徒。
ダサ男子に見えた表参道へ出かけてナンパに挑戦。声をかけたのがマユミ(森田望智)。お店でお茶して見つめ合う。そこに男がやってきてボコボコにされる。(なんで?)
自分がよく見る映画だとこういうとき包丁で相手をめった刺しとかにするんだが、何も起こらない。ただ一方的にやられるだけ。

で、ボロボロになって橋を歩いて倒れた男と、ヒロインが出会う。
ここまで見てて何も面白くない。普通過ぎて面白くない。独り言セリフも演出も作為的で不自然。この男子高校生が好きになれそうにない。

そして、山田杏奈がぜんぜん可愛くない。
「ひらいて」のイケてる山田を見た後だと高校生たちがみんなわりと普通。

男子の姉が成海璃子。脈絡なくフザケ出したりする。うるさい。
岡崎京子なので何か特別なものが出てくることを期待してたのだが普通。
そういえばスマホもケータイも出てこない。平成の初め頃?オザケン口ずさんでる。タピオカ飲んでるからやっぱり現代?昭和から令和がごっちゃになってる。

衆人環視の喫茶店で男子高校生をぼこぼこにする男、彼氏を待ってるのに男子高校生にナンパされてお茶しにいく女も異常。まるで何も考えてない。
学生証を拾って届けた制服姿の女子高生にいきなりバケツで水ぶっかける姉が異常すぎる。日本人なのか?
学生証拾っただけで男子の家に出かけて部屋に侵入してしまう女子も異常。
女子高生にクラブイベントのチケットを渡すな!ケンイチがナンパした女を連れてくるかもしれないのに。
路上でゴキブリ見つけてパニックとか唐突。

クラブでひとりのハルコ。そこに森田望智が話しかけ口紅とイヤリングをくれる。最悪な三角関係の邂逅。まるで演出されたような失恋。
ハルコはクラブで出会った若い男とヤケになって夜の渋谷へ。だが、キスされただけで逃げかえる。
いっぽうそのころケンイチはマユミとホテルへ。1万円以上の距離をタクシーで移動とか、なんかバブル時代の感じがする。

あのバカ男と出会わなければハルコは高校を自宅謹慎にならなかった。なんか見てていろいろ腹立ってきた。
山田杏奈パートはリアルな平成の16歳高校生ドラマに思えてきた。

なんか、朝帰りの風景とかあの時代の空気を感じた。90年代前半、バブル時代のスクラップ&ビルド東京。

ハルコのともだちカエデが長身で美人っぽい。調べてみたらスターダストの滝澤エリカという2005年生まれの16歳だ。おそらく映画撮影時は中学生だ。山田杏奈と実年齢は5学年も違うじゃないか。え、またしても百合シーン?
建設中の高層マンションの一室に潜入して遊ぶなんて今の小学生はしないだろうなと思った。

意図のわからないムダ演出ムダ台詞が多いように感じた。映像は良いが脚本が良くないように感じた。
「ひらいて」が素晴らしかったので、こちらはとても凡庸に感じた。どう見たらいいのか困惑した。
だが、見たこと自体は良かったと言える。日本の青春映画は序盤だけ良くて後はひたすら退屈というパターンが多いが、この映画は前半はダメで後半が良かった。

それにしても山田杏奈は女子高生の平均値を演じたら想像以上に素晴らしい球を撃ち返してくる。感心しかない。

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