岩波ジュニア新書「王様でたどるイギリス史」池上俊一(2017)をきまぐれで手に取ったので読む。これまで英国歴史本とシェイクスピアを数冊読んでやっと英国史がイメージできるようになってきた。
この本は英国史を王位継承を中心に語る。1066年のノルマンコンクエストに始まるノルマン朝の初代ウィリアム1世征服王から開始。(その前のアルフレッド大王とかエルドレッド無思慮王とかクヌートとかウェセックスの王たちはほんのちょっとしか触れていない)
今回、結論から言って、この本はとても面白かったしコンパクトにまとまってたしとてもわかりやすくてためになった。中学生には難しいが高校生にはつよくオススメしたい。ジュニア新書とはいっても大人であっても読みごたえ十分。
高校1年生のとき世界史でノルマン朝やプランタジネット朝、ランカスター朝とかヨーク朝とか、すべての王を覚えることはとても無理だなと思っていた。
だがこの本を読んだことで、今の自分はイングランドの、大英帝国のすべての王を、時間をもらえればすべて順番にそらんじることができる自信がある。(思ってたより歴代英国国王は多くなかった)
歴代英国国王はノルマン朝から初期プランタジネット朝までほぼフランス人。英国本土に住んでなかったし英語ができなかった。
英語という言語もアングロサクソン語とノルウェー北欧諸語とフランス語が交じり合って誕生した言語。
18世紀のハノーファー選帝侯ジョージを国王に迎え入れてからジョージ1世、ジョージ2世とドイツ語しかできない王が続く。そして現在まで英国国王はほぼドイツ人。
ヴィクトリア女王の夫アルバート公(ヴィクトリアの従兄)はザクセン・コーブルク・ゴータ家なので、後(第一次大戦時)にウィンザー朝と改められる以前は「サクス・コーバーグ・ゴータ朝」と呼ばれていたことを初めて知った。
国王だけでなく英国の内政と国民の意識や生活の変化なんかも学べる。ピューリタン革命のクロムウェルが国民に課した質素倹約に反抗した人々がパブを生み、食事に興味と関心を持たない風潮がフィッシュアンドチップスで満足する国民性を生んだ?
チャリティーやフィランスロピがジョージ3世時代から英国で盛り上がる。産業革命は農民を都市に流入させ貧困を生んだ。なんとかしないといけないと考える上流階級やブルジョア市民がいた。彼らは働いてないので、労働者階級に罰を与えてでも働かせる必要があった?!(今の日本も労働者は給料や待遇に不満を言わず働け!こどもを産め!と言われてるのと同じだなと思った)
英国ジェントルマンがパブリックスクールで画一的につくられたエリート。家族の絆は薄いが社交クラブで仲間内で群れたがる。リーダーの指示は絶対。そして功利主義的。
そもそも英国国王は軍人であることも求められた。英国人は争いを好むし粗暴。
わりと英国人をディスってる内容も多かった。
あと英国と日本は島国という点で似ていると感じることが多いのだが、マグナカルタが1215年、御成敗式目が1232年。英国も日本も12世紀13世紀が面白い。14世紀の英仏百年戦争や薔薇戦争ももっと詳しく知りたい。
PS. 未明にエリザベス女王崩御のニュース速報が入った。あぁ、今年は時代が変わったと感じる訃報を多く聞く。
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