フィンランド映画「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」(2017)を見る。原題は「Tuntematon sotilas」。監督脚本プロデュースはフィンランド・ヘルシンキ出身のアク・ロウヒミエス。日本では2019年に劇場公開。
「無名戦士」という小説の映画化。これはフィンランドでは何度も映像化されている名作という扱いらしい。もちろん全編フィンランド語。
第2次世界大戦時、祖国防衛のためソ連軍を相手に戦ったフィンランド兵士たち描く。
1939年から40年の「冬戦争」でフィンランドはカレリア地方をソ連に奪われた。
翌41年、なおも侵略を続けるソ連に対し、ナチスドイツに協力を要請。これにより冬戦争に続く「継続戦争」が始まる。日本人でこのへんのことを知ってる人はミリオタぐらいしかいない。
小国にとって限界を超える市民を動員した総力戦でソ連軍に立ち向かう。兵士たちの主力は若者だ。恋人と別れて兵役訓練に向かう。
戦争映画だとたいていの隊長は厳しくて嫌な奴だったりするのだが、この小隊長はわりと無口で冷静。
ソ連と戦うフィンランドの戦場は針葉樹林。倒木に身を潜めて銃撃。
森と湖の国の渡河作戦。木々が爆弾でなぎ倒されるのがもったいない。冬戦争を経験してるおじさんロッカ伍長(エーロ・アホ)はすんずん敵を攻撃して前進していく。少尉も感心。
ソ連軍の戦車は森の中も進めるのか。こんなふうに戦車の下に爆弾を投げ入れるスタイル。フィンランドはソ連戦車をたくさん鹵獲した歴史がある。
1941年10月、ペトロザヴォーツク入城。兵士が一般住宅でお茶のおもてなしを受けてる。気位の高そうなロシア女が怒ってる。なぜこの街を攻撃した?そっちが攻撃してきたからだ。
女たちは兵士に色気を振りまいてる。欧州戦線は都市の奪還があるたびにこんな風景。
つかの間の休息。そして再び前線へ。
季節はいつの間にか冬。フィンランド兵の服は白くなってる。昼なお暗い森の中をスキーで移動。敵と出会えば雪に身を潜めて銃撃戦。
ロッカは勇敢な行動で敵を殲滅。休暇を与えられ一時帰宅すると夫人と一緒にサウナ。それがフィンランドスタイルか。
1942年6月4日、マンネルヘイム元帥の誕生日。ヒトラー総統が訪問。
兵士たちはウォッカで酔いながらカリンカを踊る。
新兵が補充される。19歳の兵士は質問する。「敵も人間では?」「いや、敵は人間じゃない。」その少年兵は頭部を狙撃され即死亡。そんな状況でよくメンタルを保てる。
勇敢で有能な兵士なのだが軍規無視のロッカは上官から目をつけられる。司令部の掃除など命令される。軍法会議だと脅されても堂々と反論。
中年男性も最前線に動員されていたのがフィンランド軍。故郷では妻と娘が麦の刈り入れ。
隊はカレリア地峡の国境へ配置転換。いつまでたっても戦闘は終わらない。カリルオト隊長がヘルシンキで結婚式を挙げて戦場に戻ると戦況は悪化。どんどん増える死者と傷痍兵。これはもうガダルカナル島みたいなものでは?
ソ連の圧倒的火砲になすすべなく敗退。みんな死んでいく絶望地獄。塹壕の中で「もう嫌!」という感じで耳をふさぐ。あのパワハラ将軍が死ぬシーンはすっきり。
フィンランド兵かく戦えり。という映画。スターリンは地獄の業火に焼かれろ。
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