2022年9月17日土曜日

樋口有介「少女の時間」(2014)

樋口有介「少女の時間」(2014)を東京創元社の創元クライム・クラブ版で読む。

これも元刑事の中年フリーライター柚木草平が未解決事件を追う長編社会派ミステリー。月刊誌編集者からもたらされた2年前の、大森駅近くの神社境内の植え込みの中から16歳女子高生の絞殺死体(強姦未遂の末に殺された?)が見つかった事件を調査。

この作家の本はどれも中年男(離婚した妻と中学生娘あり)の周囲が美女だらけ。女編集者、事件を独自に追う所轄の女刑事、元上司で恋人の警視庁キャリア組美女(人妻)、などなど。それは男の願望。

殺された女子高生が出入りしてたベトナム留学生の支援と交流のNGOに聞き込み。
さらに、その事務所のあるビルオーナー(姉)は若くしてかなり年上の資産家夫を手に入れ悠々自適。さらにその娘がものすごく美人。

女刑事から被害者女子高生は処女でなかったことを知らされる。一見普通の女子高生の裏の顔とはいったい?!(女子高生が死体となって発見されると司法解剖の結果、警察にそういうことまで調べられてしまう。)

調査を開始するタイミングでNGOの1階アジアン雑貨店員が自宅浴槽で事故死。部屋にはマリファナ…。これは事故に見せかけた殺人かもしれない。
事件後地元に帰った被害者女子高生と殺された店員はともに地元が栃木県佐野市?
ベトナム留学生支援組織がなぜか全員女性ばかりなのは偶然?
都庁からの天下り先になってるけど、実はベトナムにおける対韓カウンター工作組織とも関係が?

この作家の作風は中年男と美女たちとの軽妙ユーモア会話で事件のあらましと経過がよくわかるということ。ほぼアガサ・クリスティーのようであるし、ハードボイルドでもある。

2時間ミステリードラマのような正しい娯楽小説。正直なところ推理小説とは言えない。新聞三面記事によく見るようなリアル路線。世の中はこんなにも世知辛い。

最後はどうでもいい酒のつまみの話に終始し真相はふわっと放置。
真相とかどうでもよく、気の利いた男女の会話がメイン。このスタイルで故樋口有介には今も多くの読者がいる。

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