2022年9月28日水曜日

眉村卓「なぞの転校生」(1967)

眉村卓「なぞの転校生」を読む。2013年講談社文庫版で読む。2004年青い鳥文庫を底本とするもの。自分、眉村卓(1934-2019)を初めて読む。

1965年から66年にかけて月刊学習誌「中学三年コース」に連載された後に1967年に単行本化された眉村卓の初めてのジュブナイルSF。1975年11月~12月にNHKでテレビドラマとして放送。
今回自分が読んだ講談社文庫版はおそらく、2014年1月期に岩井俊二ドラマ版が放送(テレビ東京)されるタイミングに合わせて出版されたもの。188ページなので中編と言っていいかもしれない。中学生向けなので1ページの活字の密度が低い。これは子どもも手に取りやすい。

主人公岩田広一くんは大阪に暮らす中学生。中学2年から3年にかけての時期。
同じ団地の同じ階のお隣さんに東京から引っ越してきた山沢典夫には初めて顔を合わせたときから反感。エレベーターでちょっとの間停電しただけでレーザー光線で扉を焼き切ろうとする危ない奴。

いけすかない山沢はハンサムで勉強もスポーツも万能。学年トップクラスの岩田を山沢はアッサリ追い抜く。仲良しの同級生香川みどりも山沢のことが気になる様子。ますます気に入らない。
山沢がわりと常識がない。同級生たちと協調性がない。口論しても噛み合わない。

だが、やがて他のクラスにも山沢のような端正で美しい顔をした優秀な転校生がいることを知る。実は大阪中にいる?
この生徒たちが他の生徒と衝突する。不良たちから絡まれるのだが、正義感のある岩田君は間に立つ。

山村のことを聞きつけた新聞テレビが団地に取材にやってきてちょっとした事件。やがて、二人は相互理解。岩田くんは山沢が異次元世界から避難してきた流浪民であることを知る…。

学校の教室と団地だけで進行する、かなりこじんまりしたSF。いまこれを読むとかなり素朴。正直それほど面白さを見出せなかった。
当時の子どもたちは夢中でページをめくったのかもしれないが、現代の中高生にはかなり物足りない内容ではないか?
それにこの50年の間に中高生も変ったし、社会も常識も変った。今これを読むとヘンテコ感もする。

昔は新聞テレビマスコミが今よりもかなり職業倫理感が低い。マスゴミは昔から人間性低い。競争が激しいからといって何したっていいわけじゃないぞ。

この50年の間、日本は多少の難民は受け入れたけど決して移民は受け入れなかった。人間はほんの些細な違いでも衝突する。よほど余裕とおおらかさがないと、異文化人との交流は無理だろう。

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