2022年8月31日水曜日

リュック・ベッソン「ジャンヌ・ダルク」(1999)

リュック・ベッソン監督、ミラ・ジョボヴィッチ主演の仏米合作映画「ジャンヌ・ダルク」(1999 コロンビアピクチャーズ)をやっと見る。原題は「The Messenger: The Story of Joan of Arc」。
これまで何度かちょっと見かけたりしたのだが、ようやく英仏百年戦争やジャンヌ・ダルクについての予備知識がついてきたのでしっかり見る。

1420年、百年戦争下のフランス。信仰心の強い少女ジャンヌは毎日のように教会に通って懺悔。何かこの世の者でない姿が見え声が聴こえる。牧草地で剣を拾う。
狼の群れの幻覚。村は焼き討ち。姉カトリーヌは惨殺。
中世に人権とか道徳とかいう観念は希薄。中世フランスの食事風景が汚い。

絶望のジャンヌは神父にヒステリックに思いのたけを叫ぶ。なんかこの子怖い…。
神父は「いつか神が、お前を必要とする日が来る」と答えるしかない。

そして数年後、フランス王太子シャルル(ジョン・マルコヴィッチ)にロレーヌのジャンヌからの手紙が届く。神の使いを称する乙女のことはすでに国中の噂。中世フランスの王宮にいる人々が品のない笑い。

そして有名なジャンヌが王太子を偽物だと見抜くシーン。映画開始から30分以上経過してやっとミラ・ジョボビッチ(ジャンヌ)登場。大勢の中からひとりシャルル王太子を探し当てる。そしてジャンヌは王太子とふたりきりになってこれまでに体験した不思議な奇蹟を語って聴かせる。

反対する側近たちの要求でジャンヌが処女かどうか確かめるというシーンが異常。まあ中世ヨーロッパは異世界だから。
字も読めず剣術も持たないジャンヌに軍を持たせるべきか?なおも疑う人々は言葉によって説得。

オルレアンは敵から投石機で攻撃を受けている。ジャンヌは戦略を語らない。ただ予知夢や幻覚を見たことで神の御意思をヒステリックに叫ぶ。やっぱりこの娘が怖い。
中世合戦シーンがすごい。この時代の要塞攻防戦ってこんな感じだったのか。
この映画ではイギリス側のヘンリー6世やタルボット卿といった人々は名前しか登場しない。

ランスでシャルル7世の戴冠を陶酔したように見つめるジャンヌ。次の瞬間にはもう戦場。
ヴァロワの王には援軍を送る金もない。王にはもうジャンヌは手に負えない。一時の熱狂は去った。
そしてコンピエーニュでジャンヌは見捨てられ敵の手に落ちる。ジャンヌはもうしどろもどろ。

てっきりジャンヌの神がかり的大活躍を描いてるのかと思ったけど、ちょっと頭のおかしい哀れな女に見える。むしろ戦況悪化。空気の読めない独りよがり社員が現場を混乱させている。
コーション司教の救う努力をすべて自らたち斬ってる。このへんの論理は日本人にはよくわからない。人を焼き殺すなど人間のすることではない。

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