この本は図書館リサイクル無償配布本をいただいてきたもの。
樋口有介(1950-2021)の訃報を昨年10月に聞いてちょっと驚いた。71歳だった。自分がこの作家の本を読むのは2冊目。
主人公柚木草平は元警察官でフリーライター。妻とは別居中の38歳。娘(10歳)とスキーに来ていて高校時代の初恋の卯月実可子と再会。色々と昔話。実可子は病院の家に生れ、高校時代は女王様とよばれるほどの美人。輸入車ディーラーでホテル経営の夫と結婚し大きな家に住み、本人は輸入雑貨販売店(目黒)を経営する人生の成功者。
だが、実可子は経営する店で死体となって発見される。実可子の中学生の娘梨早に「自分に何かあったら柚木さんに相談するように」と言い残し柚木の名刺を渡していたという。そのことを実可子の姪のケイ(大学に研究職勤務の27歳で美人)経由で柚木の元へ。初恋の人であるし犯人を知りたいということで調査開始。
強盗殺人にしては盗まれた物が出てこない。それに娘にもしものことを話しておくということは身近な誰かに殺された可能性もある。柚木はかつての同級生たちから話を聴いて歩き回る。そんなハードボイルド探偵2時間ドラマ。
高校の同級生たちが中年になったら闇が見えてきて……という悲哀に満ちたビターな話。1990年ごろの雰囲気を伝えるミステリー。登場人物はケイ(27)以外はみんな38歳。
ミステリーとしてはそこそこだが、主人公のキャラがよい。主人公一人称で会話してるか心で毒づくかしてる。会話センスがおしゃれ。サクサクと読みやすい。ほぼ一晩で読み終わった。十代の読者にもオススメ。
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