2022年7月29日金曜日

優駿 ORACIÓN(1988)

「優駿 ORACIÓN」を見る。6月にBSプレミアムで放送されたので。
1988年公開のフジテレビ開局30周年記念映画。フジテレビが総力をあげて作った映画。かなりのヒット作だったらしい。配給は東宝。
原作は宮本輝「優駿」。脚本は池端俊策。監督は杉田成道。音楽は三枝成彰。

おそらく主演は当時人気若手女優だった斉藤由貴。東京の社長令嬢の女子大生役(勉強してる様子無し)。自分、まだ斉藤由貴さんの若い頃の出演作とか見たことなかった。喋り方が独特だと思った。

父社長は仲代達矢。仔馬が生まれるのでサラブレッド生産牧場を見にやってくる。獣医さんが三木のり平さんだ。
牧場(北海道)の周囲がまるで「風と共に去りぬ」のような風景。「嵐が丘」のような風景。劇的。
そして当時ほぼ新人の緒形直人も主演クラス。そして緒形拳が父。莫大な額を払って伝説の名馬を種付け。親子にとって一世一代の大博打。緒形親子共演。
平幹二朗は偉そうな役のスペシャリスト。仲代達矢社長に何か要求してる。業績不振で大手に乗っ取られる?
仲代社長の部下石橋凌(やりて秘書、仔馬にオラシオンと命名)。

仲代社長が愛人加賀まりこに産ませた非嫡出子吉岡秀隆(斉藤由貴の腹違いの弟16歳)が重度の腎不全で寝たきり。ほぼこども。
生きるためには生体腎移植が必要という状況。血液型が一致する父が臓器提供の第一候補者。だが会社が業績不振で存続の瀬戸際。「他人に腎臓をくれてやる余裕はない」という非情父。一人息子よりも会社が大事。

そんな状況でORACIÓNを3000万円で購入決意。娘斉藤由貴に馬を与える。競走馬を買うとかセレブすぎる。貴族かよ。仲代達也は「ハチ公物語」でも娘に犬を買い与えてた。

正妻は吉行和子。買う馬を薦めにやってくる調教師が田中邦衛。みんな当時の日本映画界の大物俳優。格調高い。みんな若い。これは相当な大作映画。(田中と吉岡の共演シーンはない)

仔馬は大きなファームへ行くことになる。そこのひょうひょうとした調教師おじさん(だと思わせておいて実は社長)役で石坂浩二。石坂さんはこういう役はめずらしいのではないか。(平、石坂、吉行はワンシーンのみの出演)
斉藤由貴は姉の名乗りも挙げずに弟吉岡にオラシオン号を譲る。え、無償譲渡?
大ファームで競走馬として調教。東京と北海道。そのへんは手紙と写真でやりとり。

茨城に輸送中にトラックが路肩に脱輪事故でオラシオンは脚に怪我。それは大変な事態。競走馬は人間よりも高い。大雨の暗い夜道はもっと運転に慎重になれ。
弟吉岡はデビューまで生きられるかと焦る。脚の怪我で新馬戦に出場が1か月遅れると聞かされさらに焦る。吉岡を病院に無断で深夜に連れ出して早朝練習のオラシオンと対面させる。このシーンがこの映画のクライマックスか。

仲代社長は会社の危機と息子危篤から逃げ出すように北海道。だがそこでもオラシオンの母馬の危篤に立ち会う。
オラシオンはデビュー後3連勝だったのだがレース中に骨折?!でも致命傷にならないでよかった。再び連勝。でも2000m走るのは無理。それ以上走らせると骨折するかもしれない。競走馬として命を燃やすか、北海道で静かな余生をすごすのか。そんなギリギリの決断中に緒形父は胃癌で死亡。父の遺言は「ダービーを取るまで帰るな」

そんな人間ドラマの末に、オラシオンはついに日本ダービーを走る。
美しい風景のある映画は見ていて飽きない。フィルムで撮ってるコントラストの強い映像が良い。
仲代社長と重役たちの会議室がタバコの煙でもうもうとしている。昭和は遠い昔になってしまった。

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