2022年7月30日土曜日

木村文乃「BLUE / ブルー」(2021)

松山ケンイチと東出昌大主演映画「BLUE/ブルー」(2021 東映)を見る。どうやらボクシング映画らしい。監督脚本は𠮷田恵輔。長年温めてた企画だったらしい。
自分としては木村文乃が出てるので見る。2019年秋に撮影されたもの。
ボクサー役をする俳優は痩せないといけなくてたいへんだ。

ゲームセンターで中学生が喫煙してるなら警察を呼べばいいんじゃないか?
話のなりゆきでボクシング素人柄本時生(ゲーセン店員)がボクシングジムを訪ねるとか、青春映画っぽい。
で、松山ケンイチが「ボクシング目指してる風」をめざしてる柄本を指導。ボクシングジムってこうやって素人入門者から月謝ももらってなんとか運営してるのか。そこ、いろいろとリアルな映画かも。

松山と同じジムにいる有望ボクサーが東出昌大。わりとギラギラしてる。
その彼女が木村文乃(美容師)。東出が最近ろれつが回らず物忘れがひどく怒りっぽいことを心配してる。木村が松山の髪をカットするともっさり青年がまるで若い頃のアルパチーノ。松山と木村は昔からの知り合い?
𠮷田恵輔監督の映画って基本庶民しか出てこない。どのキャラクターもちょいバカ。
柄本(ド素人にしてもあまりに酷い)の動きがいくら変だとしても、月謝払ってるジムの客を馬鹿にする半グレみたいな赤髪ボクサーなんなの。

で、木村は東出を精密検査に連れて行くと、やっぱりいずれ認知症になるかもしれないとのこと。
一方で松山は連戦連敗。弱そうな対戦相手を選んでもボコボコに負ける。それはもう素質がない。

柄本の初スパーリングの描き方が落語。こいつは半年ボクシングやってるのにまだ素人。
だが柄本はやっと本気でボクシングに取り組み始める。ボクシング用マウスピースってあんな風に作るのか。

東出の脳の空白が広がり始めてる。木村が「今日、生理なの」と断るのだが、「バスタオルとか敷けばいいだろ」と立ち上がった瞬間にもう自分が何のために立ち上がったのかも忘れてる。
頭痛をバファリン飲んで対処してる。普通こうなったら別のスポーツを始めればいいだろ。なにも頭部に衝撃を喰らい続けるボクシングをする必要はない。

ジムの赤髪がプロテストを受けるというので柄本もついでに受けてこいと言われる。で、受かる。え、プロテストってそんなものなの?
不合格の赤髪は不満げ。こいつは地下ファイトとかを目指すべきでは?
実は柄本のほうが赤髪よりも強かった?!ボクシングは基礎が大切と教える映画?赤髪は基礎を疎かにした場合の典型的反面教師。
ボコボコに返り討ちにされた赤髪は痙攣を起こして意識不明。ボクサー生命を絶たれる。(こいつの治療費、慰謝料もジム持ち?)やっぱりボクシングは怖いスポーツ?!

東出のタイトル戦を前にして松山との対戦相手研究シーンとか新鮮。こういうの見たことなかった。やっぱりいろいろリアル。下の階から文句が来てると怒ってくる大家のババアとかもリアル。
で、東出はタイトル戦を直前に自転車で転倒。それでも自分も周囲もごまかす。やっぱもうボクサーを諦めるしかない。ボクサーってなんか可哀想だな…。

松山はやっぱり連戦連敗。相手が30過ぎデビュー戦で勝てそうと思いきや、もとキックボクサー?!そんなのアリ?
同じデビュー戦の柄本も初回TKO。弱すぎる…。
東出は勝利。東出を応援する松山を見て木村は涙。試合後の勝利インタビューがまったくろれつ廻ってないし頭も回ってない。これもリアル。
柄本「悔しくないんですか!」松山「悔しいけど悔しさをバネにして…」柄本「バネになってないじゃないですか!毎回負けてるじゃないですか!」脚本のセンスもわりとよい。
木村は柄本をビンタ。この意味がわからなかったのだが、そういうことか…。吉田監督は数分後に違和感の伏線を回収してくる。

ひとりの女をめぐって男ふたりがボクシングで争う。そして悲劇。ちょい「タッチ」要素。

トラック運転手の東出はあきらかに普通じゃないのに、右手がしびれて震えてるのに「薬物やってない?」とか見当違いなことをいう警察官なんなの?これって侮辱罪では?
「集中しろ」とか嫌味言う会社の上司とかなんなの?あまり嫌な人が出てこない映画かと思ってたのに、そこは嫌な気分。
そんなボクシング人間模様群像劇。どんなことがあってもボクシングが好きでやめられない。松山、東出、柄本が対等に主演。
見終わった後にわりと爽快感。日本映画の佳作。荒川河川敷は自分にとって見慣れた風景。

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