2022年7月14日木曜日

ヘミングウェイ「老人と海」(1952)

ヘミングウェイ「老人と海」(1952)小川高義訳2014年光文社古典新訳文庫で読む。文庫裏の簡単なあらすじ書きで「ヘミングウェイ文学の最高傑作」と書かれている。この本が今まで読んできたヘミングウェイの中で一番ページが薄い。
THE OLDMAN AND THE SEA by Ernest Hemingway 1952
これは13歳ぐらいの時読んでる。おそらく大久保訳の新潮文庫版で。それ以来で読む。子どもの頃はまったくメキシコ湾の風景も、船やカジキマグロがどんなものかも思い描けていなかった。今ならもっと活き活きと場面が思い描けると思い読書開始。

ヘミングウェイはどれもが男の闘いを描く。これは老人と巨大カジキとの三日間の孤独な戦いを描いてる。とても平易で分かりやすい文体。

84日間一匹も連れていない大スランプのサンチャゴ老人。40日目までは一緒に舟に乗る少年がいたのだが、両親の言いつけで他の船に。お金も稼げたことだし、また老人と一緒に漁に出ようかと同情もされる。
それだけ長く不漁で生きていけるのか?さすがキューバ。相互扶助のように住民が老人を気にして食べ物を分け与える。自由に飲んでよい缶に入った鮫の肝油?で精をつける。

そして、ついにカジキの大物がかかる。え、ロープを手繰る方式の釣り?
手を怪我したり攣ったりしながらレスリングのように全身を使って、水面下にいる超大物との駆け引き。
老人は漁に出るのに、食欲がないということでとくに何も食べていない。水だけ持っていく。それは危険なのでは?

カジキが弱るのを待つ間に釣り上げたシイラを生で喰らう。塩もライムも醤油もないのに?シイラの胃袋にいたトビウオも生で喰らう。たまたま流れていた海藻についていた小エビも生で喰らう。ワイルド。

とにかくずっと老人の自問自答や回想。ひとりでカジキの大物を釣り上げたことはない。「あの子がいれば…」とつぶやく。
老人のヒーローはヤンキースのジョー・ディマジオ。こういうのは子どものころ読んでいてよくわからなかった。
あと、漁師は海に出ると雲をみればハリケーンがくるかどうかわかるという。陸は雲の形を変える。こういうのも気象の知識が増えた今ならわかる。

そして、なんとか舟に括り付けたカジキに鮫がむらがって肉を持っていく。これが金銭的損失になる。
最初は鮫の脳天に銛を突き刺して防ぐ。だが、銛もロープも持っていかれた。カジキの傷口から血が流れればそれをたどって他の鮫もやって来る。だがそれは防ぎようがない。
シャベルみたいな頭をした鮫もカジキを喰らいにやってくる。ナイフを括り付けたオールで応戦するも、カジキの4ぶんの1は持っていかれた。「もう魚に目を向けたくない…」

次の鮫との戦いでナイフも折れた。あとはオールと舵と短いこん棒だけ。さらに鮫の背びれが見える。どうすんだよ…。
帰り着いたらカジキは頭と尾びれを残して骨だけになっていた。老人は疲れ果てて眠る。眠っている老人を見た少年は泣いていた。

男は最後の最後まで全力で戦え!これがヘミングウェイだ!という完璧な中編小説。一篇の映画を見たようで味わい深い。どの世代が読んでも主人公に感情移入できる。70年間名作扱いなのも納得。

0 件のコメント:

コメントを投稿