2022年6月14日火曜日

有村架純「かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発」(2018)

「かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発」(2018 松竹)を見る。このシリーズは前作として2作あるのだが見ていないし設定を知らない。たぶん連続性はないものと想像するので見ない。
監督・脚本は吉田康弘。制作はROBOT。肥薩おれんじ鉄道鹿児島県阿久根市を舞台にした映画。

有村架純が主演なので見る。有村でなければ見ていない。有村の出演作もすでに膨大でとてもすべてを見きれなくなってる。

有村と國村隼さんが出演していればそれはもう幅広い年代を対象とした家族愛ヒューマンドラマ以外にありえない。
この時期の有村架純は「ひよっこ」(2017年4月期)が終わって燃えつきていたころ。今後に悩んでいたころ。

有村架純は小学生ぐらいの息子と海沿いを走る鉄道に乗ってる。目的地についた。子どもはワンマン電車の運転士に渡そうとした切符を記念にもらって降りる。
ヒロイン晶(有村)は駿也を連れて東京から修平の故郷鹿児島へはるばるやって来たのだった。
仕事を終え暗くなってから帰宅した義父の節夫(國村隼)と初対面。「あ、電車の!」

晶は骨壺を渡す。「これは?」父は息子が亡くなったことをこのとき知る。留守電を全く聴いてなかった…。
晶が語る夫のくも膜下出血による急死。長年連絡を取りあっていなかったにしても、息子の死に対する父の反応が薄い。というか無反応。

息子駿也は夫修平(青木崇高)の連れ子で晶とは血が繋がっていない。
若くして夫を失っただけでショックでかいのに、血のつながらない子を抱えて世知辛い社会を流浪とか人生ハードモード。
だが、「結婚するときこの子の母親になると決めた!」それは決意が固い。
夫の借金の件、妻と息子はセーフなのか?そのへんは触れられてなくてもやもやする。

節夫は国鉄時代から肥薩おれんじ鉄道で運転士。職場は人手不足で定年退職を先延ばしにするようにお願いされてる。このご時世、60になっても仕事があるっていいことでしかない。

アパートを追い出された母子は行き場がない。妻には先立たれ一人暮らしの義理の父の家で、血の繋がらない3人で家族として、一緒に暮らすことになる。
伯母の筒井真理子から、仕事を探すといっても、アルバイトじゃだめってわかるよね?と念を押される。

職を探していた晶は息子(鉄オタ)の一言で鉄道の運転士求人に応募。即採用w。このご時世にそれはすごい。
このヒロインは鉄オタ息子のおかげで、一両編成車両が電車でなくディーゼルで動くことは知っていた。なのに第三セクターという言葉は知らない。しかも運転免許すらない。そんなんでよく採用が決まった。晶の研修担当が今年話題になってしまった木下ほうかだ。
駿也は田舎小学校に転入手続き。担任の先生がかわいいなと思ってたら、桜庭ななみだった。なんと不倫の子を妊娠中。白昼に漁港でつわりによる吐き気。(そんなん、田舎だとあっというまに噂が広まるに決まってる。未婚で出産して教師を続けられるような日本の田舎があると思えない。)
晶は先生の「おろすにきまってる」という告白に、自身が流産した経験をフラッシュバック。

修平(青木崇高)と前の妻の死別などの一家回顧シーンが途中に挟まれる。経済的に不安定な父は子どもを母方の実家に奪われそうになる。実の父から嬰児を奪って連れ去ろうとするシーン。こういうの誘拐に相当するのでは?
晶の資格取得のための勉強中に夫とのスーパーでの出会いシーンも描かれる。

そしてヒロインの資格取得に向けた受験勉強が始まる。母は子を義父に託して門司へ研修へ。息子はこの血のつながらない母がちゃんと戻ってくるのか不安。
今は母と小学生でも両者スマホを持っていて便利な世の中。晶はあっさり免許を取得して戻ってくる。鹿児島の芋焼酎で乾杯。義父のつきっきり指導で現場で運転士研修開始。

息子は田舎小学校に馴染めない。同級生男子たちがガサツ。駿也が大切にするキーホルダーのついた筆箱を奪おうとしたいじめっ子が、力と勢いで自身の目を自業自得の怪我。
その母親が超絶低民度田舎者。この事故はなんら駿也に責任がないにもかかわらず、土下座を要求。「父親は?」「そんなに若くて何歳で産んだ?」など、ありとあらゆる罵詈雑言を浴びせる。

いやいや、お前の息子は他人の物を奪おうとした泥棒。古代ユダヤ社会では腕を切り落とされ一家全員追放されるべきはお前ら。その場にいる桜庭せんせいが超絶無能。何か言え!
晶もニグレクト親に育てられたのでこういうとき何を言い返せばいいのかわからない。息子にも何も言えない。
もうめちゃくちゃイライラする。こんなヤツがひとりでもいる田舎に住みたくない。感動作にするなら嫌なやつらをひとりも映すな!といいたい。

食堂車の運転はちょっと揺れただけで聴こえるように悪態と文句を聴こえるように言ってくる。そんな車両をなぜ研修生に運転させる?これは会社が悪い。あー、イライラする。

この指導官が板尾創路だ。久しぶりに見た。この先輩運転士も指導の仕方と言い方が強くてガサツで嫌。
野生の鹿を轢いたときの対処とか学習してないのに怒鳴るな。血まみれの鹿を見て夫が死んだときの記憶がフラッシュバックしてパニック。(この鹿が見るからにCGだ)

ホームでふざける高校生のせいで急停止しても客に文句言われる。過去のトラウマからややパニックになりやすい性格の件で、会社から運転士の適正に疑問を持たれる。最悪。イライラする。

夫修平も胸を押さえて倒れたのに、妻有村が病室に駆け付けると顔に白い布ドッキリとか神経を疑う。病院ベッドに晶を誘い入れるとか何しとん。

両親とも亡くなってる子どもに「ぼくのお父さん」作文とか小学校側も無神経すぎ。半成人式とかくだらない。親を仕事休ませてまでやることか。自分が当事者ならこんなものを書かせた教員たちの責任を追及する。笑ってる他の親たちも意識低い。

父が生きてるていで作文を読む息子にいたたまれなくなった晶は「帰ろう」と呼びかけるも、息子「晶がいなくなればよかった」と吐き捨てる。それはいっちゃダメ。
晶はショックで東京に戻ってしまう。なんとかまとまってた一家を崩壊させる引き金を引いた無神経小学校と父兄たちはどう責任を取る気だ?
晶はもう別の場所で人生をやり直せ。まだ若いんだから。義父にはそう言う義務があると思う。息子もいずれそう言うべき。

家族とはそんなギリギリの状態で成り立ってるもの。そんな数々の試練の末に家族の絆を確認する鉄道成分含有ファミリードラマ。人間も鉄道もそうそうスムーズにいかない。
有村架純と國村隼がいるだけで成立する映画。役者としての雰囲気だけで芝居が成立。ふたりとも声だけで説得力がある。それはそれですごい。有村架純が年々すごい女優になっている。

主題歌は斉藤和義「カラー」(スピードスターレコーズ)

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