「Little DJ〜小さな恋の物語」(2007)を見る。15年の歳月を経てようやく自分に届く。
制作はアットムービー、配給はデスペラード。監督は永田琴。脚本は三浦有為子。主演は神木隆之介と福田麻由子。音楽は佐藤直紀。
東京のFM局ラジオディレクター広末涼子は担当番組の打ち切りにへこむ。なんとDJが掟ポルシェさんだ。自分はこの人をパフュオタとしてしか知らない。
この深夜3時番組がスタッフが曲のリクエストをしてる。リクエストするリスナーがいないという悲しさ。
そんな広末はかつて自分にラジオの楽しさを教えてくれた少年を回想。
1977年、函館。主人公高野太郎(神木隆之介)は野球少年13歳。なんとバッターボックスに立ちながら自分で自分を実況。だがベースランニング中に鼻血を出して転倒。
保健の先生が江口ひろみさんだ。母親が西田尚美さんだ。ラジオで野球中継を聴いている。巨人-中日。王と星野?!
父が石黒賢。「倒れたぐらいで職場に電話してくるな」たぶんこいつは仕事ひとすじのバカ。
少年はラジオDJ小林克也のラジオ番組のリスナー。DJの口ぶりをマネする。
鼻血を繰り返すので遠くの大病院で検査。叔母(村川絵梨)が看護師。若い先生が戸次重幸(当時の芸名は佐藤重幸)。この担当医が人格者。どうやら診察結果が深刻な状況で父親も病院に呼び出し。
父は検査結果を信じないのだが父が連れ帰ろうとすると大量の鼻血。少年は入院。背中に注射針を刺すのが涙を流すほど痛い。我が子を心配そうな幸薄そうな西田尚美さんがなんか魅力的。
病室には昼食時にクラシック音楽が流れる。これは院長先生(原田芳雄)の選曲。この院長もラジオDJの真似事をするのが好き。スピーカーとケーブル、オープンリールテープがある放送室。設備が大掛かり。膨大なレコード書庫棚を自室に持つ。すごい趣味人だ。
その部屋で少年は山下達郎の音楽をかけながらラジオDJごっこをしてみる。
そこに院長先生。この先生がとても優しく理解があってよかった。治療の一環として太郎少年にお昼の放送を任せる。
太郎の病院内昼休み放送番組「サウンド・エクスプレス」(録音収録)は好評。体調も上向き。楽しいことやってると心と体の調子が良くなるってことか。他の病室の子どもたちとも仲良くなる。
で、全身包帯ぐるぐる巻きでギプスのたまき(福田麻由子)と出会う。この少女が広末涼子ディレクターの少女時代。
個室から4人部屋へ。子ども部屋が空いてなくておっさんのみの部屋へ。それは少年にとってキツくないか?人当たりの良い光石研、偏屈そうな松重豊、だれとも口をきかない婆さんがいた。鼾がうるさくて夜寝れないw
光石の息子が賀来賢人。見た目がROCKで明らかに不良。
父石黒賢に少年は強く反抗期。父がせっかく買ってくれたクイーンのレコード「華麗なるレース」も投げ捨てる。(レコード店のチョイ出演する店員がマンボウやしろさんだ)
周平(賀来賢人)は太郎を諫める。こいつ予想に反してちゃんとしたいいやつ。父光石は夜にこっそり少年にクイーンの曲をリクエスト。「リクエストってほんとのDJみたい」
実はその夜に光石は亡くなっていた。病院における死を目の当たり。
そのベッドに見知らぬ少女。たまき(福田麻由子)は中学2年生。包帯ぐるぐる巻きを脱したら笑顔の美少女。こんなん、恋してしまうしかないw 美少女が隣のベッドにいる。そりゃ熱も出る。そのことを松重(元黒部ダム工事作業員?)に看破される。「好きなら好きって言え!後悔するぞ」
だが松重は急にいなくなる。治療費が払えず逃げた?
中2少女が13歳少年のベッドに入り込むとか魔性。たまきは太郎少年の放送を絶賛。ますますDJにのめり込む。病院内の人々のインタビューなども放送するようになる。病院が活気づく。王貞治の756号ホームランも出る。仲間も退院していく。たまきも退院。
だが少年の病状が悪化。個室へ戻り絶対安静へ。番組放送も中断。少年は自分が白血病であることを知っている?はたして少年から放送を取り上げていいものか?
たまきが見舞いに来る。一緒に映画を見に行くために病院を抜け出す。「ラストコンサート」という映画を見てたまき号泣w 少年は呆然としてる。なぜならヒロインが白血病で死ぬ映画だったから。
見えると願いがかなう星を見るために二人はロープウェイで函館山へ。だが空は曇天。少年は意を決し告白しようとするのだが、突然のどしゃ降りでずぶぬれ。山の上で一夜を明かす。そして再び鼻血を出して昏倒し救急搬送。なんだかもう結末が読めてきた。
おい母西田。あの場でたまきに無言でビンタはないだろう。
子どもが重い病気にかかると両親はもう仕事どころではない。息子の手紙を見ておいおいと涙する父石黒。
長く放送が中断したお昼の放送を院長先生が代打。ここで初めて病室にいた老婆が手紙で思いを伝える。この人も孤独だった。放送がなくて寂しいという思いを伝えて少年を励ます。
もう涙なしに見れなくなってきた。
DJをやりたいという想いを伝えるも医者としては絶対安静。もう明らかに瀕死の状態。両親はラジカセを買い与える。これで部屋で録音できる!?
少年は今度こそたまきへ想いを伝える。たまきはキャンディーズ「年下の男の子」をリクエスト。
それから15年後に飛ぶ。たまき(広末)は函館の高野宅を訪れる。太郎少年の仏前に手を合わせる。(西田尚美と広末涼子は10歳ぐらいした年が違わないだろ。)
当時のままという太郎の部屋へ。「年下の男の子」のレコードを見つける。裏に貼り付いていたハガキが落ちる。そのハガキを読んだたまきはおいおいと泣く。
その後、たまきはDJ小林克也に「ミュージック・エクスプレス」復活を依頼。15年前に太郎が出そうとして出せなかったリクエストハガキが読まれる。ラジオを通して想いが時空を超える。「年下の男の子」で視聴者を泣かす。この曲がそう響いたのは初めて。
だが、キャンディーズ田中好子さんもこの映画の4年後には乳がんで亡くなったことを思い出し悲しくなった。(原田芳雄さんもこの映画の4年後に肺炎で亡くなってる。)
難病少年とその周囲の人々の病院内ヒューマンドラマ。それほど期待せずに見たのだが、なかなかの佳作。もっと有名になっていてよい映画。もっと早く見ればよかった。自分、初めて石黒賢と西田尚美がいい仕事をしていると感じた。
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