2022年6月17日金曜日

土屋太鳳「哀愁しんでれら」(2021)

「哀愁しんでれら」という2021年2月に公開された映画があるので見る。主演は土屋太鳳。監督脚本は渡部亮平。制作はC&Iエンタテインメント。配給はクロックワークス。

TSUTAYA主催の次世代のクリエイター発掘コンペティションでグランプリを獲得した企画の映画化劇場公開作。公開当時はなんとなく見聞きしていたかもしれないが、なにも記憶ない。

なんと土屋太鳳は本作のオファーを3度断り4度目で引き受けたという。インタビューによれば「私の本能が警戒した作品」。土屋は女優キャリアでこの手のジャンルへの出演が多い。たぶん台本を見る目が肥えてる。

ヒロイン小春(土屋太鳳)の独白が始まる。なぜか誰もいない小学校の教室で。
ヒロインはたぶん児童相談所勤務。児童虐待が疑われる家庭を訪問し児童の無事を確認するというメンタルきつい仕事。母親が見るからに異常。なのに自分の権利意識は高い。この仕事はクレームは無視していい。子どもの生死に関わる範囲においてはスターリンNKVD方式でよい。
このヒロインがバカ親たちを嫌悪。自身も幼少時に母が出て行かれた体験。実家は自転車店。父は石橋凌。妹は山田杏奈

祖父が自宅風呂場で倒れる。急いで病院に搬送しようと急ぐと、酒飲みながら目の前をふらふら自転車で徘徊する老人。もうこの世はこんなのだらけ。
急ハンドルで事故。その間に自宅全焼。彼氏の家に泊めてもらおうと訪れると別の女(同じ職場)と情事中。人生転落オフビート映像。
呆然自失状態で夜の街をふらふらさ迷い歩いていると、踏切内の線路上で泥酔し寝ている男を発見。一度はこのまま放置しようかとも考えたのだが、そこは公務員。救出。
父(糖尿病)は仕事を失う。祖父の入院費が必要。妹は大学を諦める。児童虐待母から訴えられ大問題。職場の上司も同僚もかばってくれない。ヒロイン以外どいつもこいつもしょうもない。この世界は地獄。

踏切で助けた男が開業医大悟(田中圭)。妻を亡くした金持ち独身王子様。ヒロインにゲロ吐いて靴と衣服を汚したから弁償させてくれと高価な服を買ってくれる。海の見える豪邸で8歳の娘(なぜか眼帯)と暮らしているのだが、この女児がまったくかわいくないw 児童相談所で小さな子どもの扱いには慣れている小春は気難しい娘と仲良くなる。

大悟は命の恩人だからと小春の父の就職の世話(葬儀会社の納棺)もしてくれる。祖父をキレイな別病院に転院させる世話もしてくれる。妹の勉強も教えてくれる。

10年つきあってた浮気彼氏が別れたくないと、不貞を働いたことを土下座して謝罪「坊主にします」
太鳳「しますじゃなくてしてこいよ!(怒)」「切るならオ〇ンチンだろ!」に笑った。
そして大悟からプロポーズ。ヒカリには母親が必要だ。そして結婚。ここまで小春と大悟は絵にかいたような理想のラブラブカップル。みんなが祝福。シンデレラストーリー。

だが、開始50分ごろから不穏に。夫の部屋に初めて入ってみる。夫に絵を描く趣味があることを初めて知る。画が不気味。昔飼ってたウサギをはく製にしてるとか不気味。自画像(ヌード)を30年描き続けて部屋に飾ってる…。

それに娘のヒカリも裏表があって不気味。小学校でイジメにあってる?医者両親には校長も丁重に対応。そこにモンスターペアレントが怒鳴り込んでくる。夫は偏差値が低い親を軽蔑する発言。嫌なシーンの連続。
毎日お弁当をつくってるのに、先生からヒカリがお弁当を持って来ていないことも知る。筆箱を盗んだ嫌疑をかけられたワタルくんが母親と謝罪にくるのだがワタルくんは全力でやっていないと否定。

ヒカリは性悪女の血をひく娘。嘘つき悪魔。甘えと反抗。母の言う事を無視するようになる。小春はため息ばかりになる。そしてヒカリはワタルと仲良くする同級生を窓から突き落として殺害。その葬式に赤い靴を履いていくとワガママ。そのワガママをすべて許す夫。

田中圭と娘がおかしいのだが、小春もおかしくなっていく。離婚しようかなという友人を怒鳴りつける。妹から大悟の家庭教師ぶりの異常さを知る。大学を偏差値でしか評価しない。やはり異常さが際立つ。
住む世界の違うふたりが結婚したことで、新妻が体験していく不気味と恐怖、精神崩壊を描くホラー。これはサスペンスじゃなかった。
敵とみなした人間は皆殺しにしていいという狂った一家による逆ギレオウム真理教型大量殺戮を爽快に描いてどうする?見ていて嫌な気分にしかならない。

金持ちは何したって許されるわけじゃない。ちょっとでも「こいつ、普通じゃない」というヤツとは距離をとれ!という教訓を教えてくれる映画。
父と娘は報いを受けるべき。ラストはこの親子の無残な最期を描くべき。
映画のタイトルがあまり合ってない。予告編での「社会を震撼させる凶悪事件」の件も本質と合ってない。

土屋太鳳はこの仕事のオファーを断るべきだった。田中圭もなんでこんな役を受けた?
大悟はプーチン。ヒカリはウクライナとベラルーシをも内包しないと気が済まない大ロシア帝国の理想と野心の擬人化。小春はたぶんメドベージェフとラブロフとペスコフとザハロワ。全員縊り首にするべき。

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