2022年6月19日日曜日

三吉彩花「十二単衣を着た悪魔」(2020)

内館牧子による長編小説「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」(2012 幻冬舎)を映画化した「十二単衣を着た悪魔」(2020 キノフィルムズ)を見る。
監督はなんと黒木瞳。まじか。ひょっとするとずっと温めていた企画とかなのか。脚本は多和田久美。
(今作が伊藤健太郎の初主演映画。だが公開前にバイクと接触事故を起こし自動車運転処罰法によって警視庁に逮捕されるという不祥事。)

主人公伊藤雷(伊藤健太郎)は就職試験連敗中のフリーター。しかも超優秀な弟にコンプレックスというそれはそれは辛い境遇。現代日本に居場所がない。
弟の医学部入学祝から逃げるように家を出る。すると雷鳴。目を覚ますとそこは源氏物語の中。主人公は直前まで源氏物語展の設営バイトをしていてパンフレットなどをお土産としてもらっていた。これはタイムスリップものでなく、異界転生パラレルワールドもの。

このへんは現代人と平安現地人の異文化コミュニケーションで面白おかしくしようってゆう。(現代人が平安貴族と言葉が通じるのか?)
平安時代の役人など現代人の体格があれば勝てそうなものだが。

妃が毎晩うなされて不眠。宮中では祈祷が行われてる。雷はたまたま持っていた市販薬を献上。(陰陽師ということになっている)
ピタッと病が癒えて信頼され昇殿を許される。桐壺帝の妃弘徽殿女御(こきんでんのにょうご)三吉彩花。このモデル女優は大柄で美人だし眉毛が濃く釣りあがってて気が強そう。圧が強そう。そこが魅力。男はみんな否応なくお仕えしたくなるにきまってる。

雷はバイト先でもらった源氏物語人物相関図を読む。今後どうなるのかがわかってる。それを占いということにする。
弘徽殿女御には一宮という息子がいるのだが、桐壺帝が桐壺更衣に産ませた二宮(光源氏)を邪魔者として忌み嫌っている。実の息子を帝にするために雷を側近相談役陰陽師として仕えさせる。
弘徽殿女御のファミリーはみんな年をとっていくのだが雷は見た目が変わらない。雷は戸惑う。

やはり主人公は傍観者。雷が源氏物語のあらすじ通りに進むのを目撃していく映画。
容姿は恵まれないが性格は良い倫子(伊藤沙莉)と結婚し子どもも生まれたりもする。もう居場所のなかった現代に帰らなくていいな…。だが、倫子は死亡。
宮中における女の戦い。弘徽殿女御を主人公にここまで話を広げたことは驚いたし新鮮。
三吉彩花はリアル平安貴族に見えない現代美女。若い人に負けるときはそのまま負けて退場すればよい…というメッセージを主人公に伝える。

現代に戻った主人公が憐れ。弟(細田佳央太)が性格まで良くてなにもかも出来過ぎ。
あと、伊藤健太郎の母親役の戸田菜穂さんがまだまだすごくキレイでびっくり。

主題歌はOKAMOTO'S「History」

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