2022年6月21日火曜日

村上春樹「中国行きのスロウ・ボート」(1980)

村上春樹「中国行きのスロウ・ボート」を中公文庫で読む。1980年春から1982年夏までの間に発表された7本からなる村上春樹の最初の短編集。表紙は安西水丸。

では掲載順(年代順)に読んでいく。

中国行きのスロウ・ボート(海 1980年4月)
主人公がこれまでに出会った中国人たちの記憶。いかにもアメリカ文学ばかり読んできた学生が書くような文芸作品。

貧乏な叔母さんの話(新潮 1980年12月)
貧乏な叔母さんの話を書きたいんだが…という、とめどない内容のない文芸。どんな話なのかまったく説明のしようがない。

ニューヨーク炭鉱の悲劇(ブルータス 1981年3月)
予想はしていたがこれもタイトルと内容が合ってない。台風や集中豪雨のときにあえて動物園に行く男。そして友人たちの死。

カンガルー通信(新潮 1981年10月)
デパートの苦情処理係の男がクレーマー女に書いた狂った手紙(カセットテープ)。クレーム対応には哲学者か変態をぶつけるべきだと感じたw

午後の最後の芝生(宝島 1982年4月)
「やれやれ。僕はほんとうにやれやれと思った。」This is 村上春樹!という作風。たぶんこの短編1本を読むだけで村上春樹を知った気になれる。

土の中の彼女の小さな犬(すばる 1982年11月)
季節外れで雨ばかり降るリゾートホテルで見知らぬ男女が出会って身の上話。

シドニーのグリーン・ストリート(海臨時増刊 1982年12月)
親の遺産を受け継ぎ働く必要のない主人公は、なぜかシドニーでいちばんシケたグリーン・ストリートに探偵事務所を構えている。グレン・グールドのレコードを聴いてると、そこにやって来た依頼者が羊男!?羊博士に引きちぎられ奪われた耳を取り返したい!これは小学校3,4年向けのような読物。

自分としては「カンガルー通信」が笑えた。「午後の最後の芝生」は完全に村上春樹ぶし。「シドニーのグリーン・ストリート」も楽しめた。
ちなみに、この「中国行きスロウ・ボート」は乃木坂46の齋藤飛鳥(当時20歳)がnon-no2018年11月号において、読者にオススメの本として紹介してる。
長編とはまた違った村上春樹さんの魅力が随所に感じられて、最後まで夢中で文字を追ってしまいました! 短編集なので、ノンノ世代の方、普段あまり読書をしない方でも気軽に楽しめるんじゃないかな。

ちなみに村上春樹なので「ぼくのペ○スは勃○した」 みたいな箇所はある。ハルキは高校生の女の子にもよく読まれているのだが、男はみんなそういうものだと思われていそうで怖い。

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