2022年4月4日月曜日

岩波新書1883「東南アジア史10講」(2021)

岩波新書1883「東南アジア史10講」古田元夫(2021)を読む。先史時代から中世、近世、植民地時代、第二次大戦を経て独立と経済成長、21世紀の課題まで網羅した東南アジア通史本。著者はベトナム研究の専門家で東大名誉教授。

シュリーヴィジャヤ、シャイレーンドラ、ピュー、ドヴァーラヴァティー、マジャパヒトとか、高校世界史以後まったく思い出すことも無かったのだが、活字で見ただけで呪文のように言葉を覚えていた。中学高校で覚えたことは一生覚えているのかもしれない。
東南アジアの転換期は13世紀~14世紀。モンゴル、地球寒冷化、そしてペスト。その後に温暖化したことで食料生産が増加し人口も増えた。

あとはひたすら高校世界史と受験で学んだ東南アジアの交易と産業と経済の歴史。やっぱりこういう受験頻出ポイントばかりが目に留まるし気になる。

この本は後半の半分以上が20世紀以降の東南アジアについて。
戦後になって東南アジア各国が独立していく箇所までは高校で習ったので何となく知ってる。どの講も「ふーん」という感じで活字を読み進める。それほど他人に語りたくなるような意外なエピソードなどはない。

タイの現在まで続いてる王朝をラタナコーシン朝という。自分はチャクリ朝と覚えていたのだが。

タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポールなどの開発独裁を突き詰めた国は経済発展する。1950年代の段階で最も工業発展していた国はフィリピンだったというのは意外だった。
戦火に見舞われたベトナム、カンボジア、ラオス、社会主義を歩んだビルマは立ち遅れる。

そして、この本は自分にASEANが誕生した契機とその後を教えてくれる。この辺は世界史というより地理で習う箇所。地理を選択しなかった自分には改めて学ぶ箇所。

経済成長とアジア通貨危機、中国の台頭、ベトナムとカンボジア、インドネシアと東チモール、そしてアチェ。ミャンマーの軍事独裁政権。そしてコロナまで。
忙しい人は第8講から第10講までだけ読めばいいかもしれない。

あと、シンガポールの独立の経緯が面白いなと思った。世界の国々は必死の独立戦争を戦った末に独立してるのだが、「華人めんどくさい」からとマレーシア連邦から追放されて独立。そんなパターンを他に知らない。だから必死で国民を教育し産業を誘致し貿易と金融に立国を見出すしかなかったのか。

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