福田麻由子「ヘブンズ・ドア HEAVEN'S DOOR」（2009）

「ヘブンズ・ドア HEAVEN'S DOOR」（2009 フジテレビ・アスミックエース）を見る。1997年のドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」を原案とするリメイク作。（その映画を知らない）

亀山千広と藤島ジュリー景子によるフジテレビ・ジャニーズ制作映画。監督は「鉄コン筋クリート」のマイケル・アリアス。脚本は「マイボスマイヒーロー」の大森美香。

主演は長瀬智也。そして、「女王の教室」「白夜行」、横田めぐみさんドラマなんかでお茶の間にも浸透してた子役福田麻由子（当時14歳）。

余命宣告された年の差のあるふたりのロードムービー。

青山（長瀬智也）はやさぐれ自動車修理工。勤務態度が悪くてクビ。これまでの給料と健康診断結果を渡される。

健康診断結果から再検査すると大きな脳腫瘍ができてる。治療は困難。いつ死んでもおかしくない。3日～1週間の余命宣告。即入院。

（同室の老人患者が声にすごく特徴がある。どこかで聴いたことがある。「未来少年コナン」でテリット役だった人だ。アニメよりも洋画吹替えで活躍してた人だ。調べてみたら納谷六朗というベテラン声優だ。2014年に亡くなってた。）

病室でタバコを吸う青山。タバコをひったくって逃げる少女春海が福田麻由子。眉毛の角度が凛々しい。怒ったような顔。

この子は病弱でずっと病院で過ごしてきた人生。先天性疾患と骨肉腫で1か月の余命宣告。病室が個室で自由に内装をリメイクしてる。おそらく両親は超お金持ち。

この男と少女は調理室に夜間忍び込んでレモンと塩でテキーラ。死ぬと知ってる人間はもうなんだって自由。（後始末する人間の身にもなれ）

男は少女が海に行ったことがないと聞いて、一緒に海を目指す。

小久保（長塚圭史）が人相の悪い金の亡者社長。たぶん反社ブラック企業。田中泯と大倉孝二がその側近。社長の高級車を届ける途中にスケボー少年と接触。病院に送り届けてる間に、ヨッパライ青山と春海に駐車してた車を盗まれる。この長塚が盗まれた車と盗んだふたりを追う。車にはGPSが？

青山はなりゆきでガソリンスタンドで強盗もしてしまう。車の中にたまたま拳銃があったから。

春海の行きたい場所は原宿竹下通り。スウェットとパジャマ姿の二人は服を買おうとするも金がない。男はさらになりゆきで郵便局強盗という犯罪を重ねる。もう何も怖いものがない。

春海が自首を説得すると青山はぶっ倒れる。目が覚めると車の中に重箱に入った札束も発見。ホテルの最上スウィートに泊まる。

春海の母（薬師丸ひろ子）も娘の捜索願。青山は警察（三浦友和、黄川田将也）にも追われる。

青山が逃走に使った車の所有企業K3は警視庁捜査二課の和田聰宏からもマークされてる。

ホテルから慌てて逃走。非常階段で警官と鉢合わせになった青山は春海に銃を突き付ける。警察官の制服を身に着けてパトカーで逃走。そんなバカな。青山は警察の想像も及ばないバカ。

ときどき頭痛の発作で倒れてトリップ。倒れるたびに春海が薬を飲ませるのだがやがて薬も底をつく。処方箋がないと買えない薬のために春海は薬局で拳銃強盗。バカであってもだんだんとふたりに同情。

今度はメキシコ料理店の車で逃走。真っ黒ダンプカーに襲われる。こいつも長塚の差し金か。山道と畑でカーチェイス。親切心で貸してもらった車をなんだと思ってる。

海に行く前にホストクラブ。土屋アンナ、二宮和也がちょい出演。だがここで長塚につかまる。どこまでも続くよ逃避行。

そして、自暴自棄となりゆき犯罪でできる最大限のことをして旅の終わり。彼らなりの命の終わり方の選択。余命宣告されていなければこのふたりは誰にも迷惑かけなかった。

予想外な展開だったし、予想外なチョイ役キャストが登場する映画だった。

三浦友和さんのやさぐれ中年刑事ぶりはいつでもどこでもハマる。最後の言葉がほんとそれ。

主題歌はアンジェラ・アキ「KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR」。アンジェラ・アキさんは今どこで何を？