新潮文庫版(平成19年第119刷)で読む。窪田啓作(1920-2011)訳で読むのだが、この訳者は東京帝大法科卒で元欧州東京銀行頭取という肩書でパリ在住。まずそこに驚く。
主人公青年ムルソーくんはいきなりママン(母親)が亡くなったという知らせを聞いて、アルジェから80キロ離れた養老院へ行く。なんだか暑そう。
ひたすら目にしたもの、言ったこと、話しかけられたこと、がひたすら書き綴られる。
養老院の老人たち、門番、飼い犬に「この死にぞこない!」と罵声を浴びせる老人サラマノといった風景。
そして愛人マリイと海水浴に行って一緒に寝て…というようなことが書かれている。
女を食い物にしている隣人レエモン(自称倉庫業)は現地アラブ人たちから嫌われてる?こいつの傷害事件に巻き込まれ、ムルソーくんはアラブ人を射殺。しかも銃弾5発を撃ち込んでる。
正当防衛でなんとかいけそうなのに、発言と行動が論理的でなく理解を得られない。ママンの埋葬のとき涙を見せなかったという証言で心証を悪くする。
ムルソーくんは別にこれといって異常な点を感じられない。ごく普通の人。他人の期待するようなコメントや表情ができない。行動が受動的で流されるまま。
そして予想外な死刑判決。フランスの司法では死刑はギロチン刑?!
正直自分の予想してたような内容じゃなかった。この主人公はあまり自身の思想のようなものを独白しない。「太陽がまぶしかったから」とかあんまり関係なかった。
最後に司祭と何か大議論でもするのかと思いきや、サッと幕引き。あまり長々と書いてないところが良い。
なんでタイトルが「異邦人」なのかよくわからなかった。カミュがアルジェ出身アルジェ育ちだからだろうけど。
0 件のコメント:
コメントを投稿