2021年12月8日水曜日

アガサ・クリスティー短篇集「マン島の黄金」(1997)

アガサ・クリスティー短篇集「マン島の黄金」(1997)を読む。これは新聞雑誌に発表した後に日の目を見ず、短篇集などから漏れ落ちていたものを集めて、クリスティ死後四半世紀を経て1冊にまとめた最後の落穂ひろい的短篇集。
WHILE THE LIGHT LASTS AND OTHER STORIES by Agatha Christie 1997
日本では早川書房独占。中村妙子・他訳全10篇で2001年にハヤカワ・ミステリ文庫化。それぞれの短編の後に詳しい解説文がある。
ほとんどの日本人がこの邦訳出版で初めて読んだはず。自分は2021年になってようやく初めて手にとった。私的クリスティ―マラソン80冊目。そろそろゴールは近い。

「夢の家」(1926) ちょっとした夢と幻想の短編。

「名演技」(1923) 過去を性悪男につかまれた女。だが、女のほうが上手だった。

「崖っぷち」(1927) 資産家の男と女ふたり。醜い争いの嫌な結末。

「クリスマスの冒険」(1923) ポアロもの短編。「クリスマス・プディングの冒険」の原型。

「孤独な神さま」(1926) 大英博物館の東洋の神様の石像の前での男女のロマンス。

「マン島の黄金」(1930) マン島観光振興企画ミステリーイベント用に書かれ配布された宝探しスリラー小説。暗号を解いて殺人まで起こって…という。

「壁の中」(1925) 三角関係男女の小説。ミステリーとは言えない。

「バグダッド大櫃の謎」(1932) 「クリスマス・プディングの冒険」(1960)収録の「スペイン大櫃の謎」の原型。

「光が消えぬかぎり」(1924) 戦争で死んだはずの夫は生きていた?今は再婚している夫人の心の不安。ちょい怪談。

「クィン氏のティー・セット」 ある老人が車の故障で立ち寄ったカフェで、ハーリ・クィン氏と再会して、訪問先の親友と娘と孫の話をする。何かが起こりそうな不安。これは30分ぐらいのドラマにできそう。頭の中で映像が眼に浮かんだ。

以上の中で一番おもしろかったのは「クィン氏のティー・セット」だったかな。それほど印象に残るようなものはなかった。

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