「Fukushima 50」(2020 松竹、KADOKAWA)をやっと見る気になった。
自分、福島に関する検証番組とかぜんぜん見てない。まだまだトラウマ。しかし、10年経ったので、あの日のことを知るためにも見ることにした。
監督は若松節朗。脚本は前川洋一。原作は門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」。
いきなり大地震。原発の職員たちは右往左往。吉田所長(渡辺謙)「みんな焦るな!慌てるな!」わさわさしつつこの時点では落ち着きがある。悲劇の始まりとはこういうものか。
「大津波警報が出てる!」「ここは大丈夫だろう」そして内部自家発電機までもが停止。真っ暗。この時点で原子炉内部がどうなってるのかまったくわからない状況。
あの日の午後は東京の人々もみんなフワフワした状態だった。まさか遠く離れた福島でこんなことが起こってるとは、その時はまだ知らなかった。
佐野史郎首相がかなりヒステリックで怒鳴ってる印象。けど、誰だってあの状況ではそうなる。担当者の尻を叩くのも仕事。誰かが事の重大さをアピールする必要がある。(このことが現場を委縮させ過度のストレスを与えることになるのだが)
事態をコントロールできていないことは各国の大使館から本国へ連絡。ヤバさが刻々と伝わってくる。
吉田所長も本社との意思疎通がうまくいかずブチギレぎみ。ずっと怒鳴り合い。「フザケんなよ…」と捨て台詞。
1号炉ベントが決定。現場は真っ暗。線量の数値も異常。手作業に従事する決死隊を選抜しないと…という段になって全員「俺が行く!」と手を挙げる。(そういうのよくない)その間にも強い余震。
水素爆発というさらなる絶望。あの日あの時、自分も東京の屋外にいたけど、もうどうでもいいや…って考え始めたことを思い出した。現場に残った人々の決死の決断を想うと何も言えない。
制御できない暴走する原子炉になすすべのない日本人。2号炉の圧力が下がった理由が不明。あの日、サイコロの目が逆に出ていたら、今の日本はなかった。福島原発事故は「元寇」「ポツダム宣言受諾」と並ぶぐらいの日本存続の危機だったと思う。
この映画、2時間まったく集中力を切らさずにみることができた。日本の名優たちが結集してた。実際の現場はあんなに暑苦しい人間ドラマでなかったかもしれないが、映画としては適切。日本人全員が見るべき。東京五輪が終わってから見ると虚しさ100倍。
あと、洋画を見たあとで日本映画を見ると、日本の50代の髪フサフサもっこり具合は異常。
ちなみに、自分は震災の年の夏から福島の桃を「安くてうめぇ~」とバクバク食ってた。
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