「罪の声」(2020 TBS、東宝)を見る。塩田武士のサスペンス小説が原作。監督が土井裕泰で脚本が野木亜紀子というTBSっぽい企画。
昭和平成の未解決事件に関心が高い自分としてはグリコ・森永事件もやっぱり気になる。あれだけ長期間いろんな事件を起こして遺留品もあるのに犯人逮捕に至らなかった。警察無能。
主演は小栗旬と星野源。もう星野を見たくもないのだが、気になるテーマの映画だったし、なにより原菜乃華が出てるのでチェックしておきたい。
小栗旬記者がロンドンのパブで聴き込み取材をしてるのだが、え、グリコじゃなくてギンガ?「森永製菓」も「萬堂製菓」?犯人は「くらま天狗」?「怪人21面相」でなく?
やっぱり実在する会社名は使えなかったのか。ちょっと失望。
しかも「キツネ目の男」の似顔絵すら使えない。これではフィクション刑事ドラマと同じではないか。はげしく失望。これではパラレルワールド。
社長誘拐事件と似た事件がオランダで起きていた。その事件を調べている男が事件前にいた。その男がキツネ目の男に似ていた。
仕立て屋(星野源)が父の遺品の入った箱を見つける。中から英語の書かれた手帖。「GINGA」と「MANDO」の文字。
そしてカセットテープに自分の声。歌声の間に金の受け渡し場所を教える自分の声。え、なにこれ。食品会社脅迫電話の音声は自分の声?!
小栗旬記者が聞き込みを続けると、犯人の目的は身代金ではなく株価操作?!脅迫に使われた子どもたちは今どこで何を?
星野も自分で伯父のことを調べて次々と事件との係りを知っていく。
この映画はその子どもたちの当時と今を追いかける人間ドラマ。カネカネカネのヤクザたちに人生を狂わされた子どもたちの悲劇。
聡一郎(宇野祥平)の語るこれまでの暗い人生が壮絶。まるで戦国時代か北朝鮮みたいな話。酷い。
突然家族ごと失踪した生島家の、当時15歳の娘を演じた原菜乃華はかなり目立ってる。とても重要な役。これ以上ない酷い悲劇のヒロイン。神も仏もない世界。
そして小栗記者は事件最大の責任者と対決するためにロンドンへ。
これはフィクションにしてもとてつもなく重厚。「砂の器」「飢餓海峡」に匹敵する。よくここまで話を膨らませた。ドラマに引き込まれた。母と息子の再会シーンには思わず涙。観ることをオススメする。
けどやっぱり、「グリコの看板」でええがな。ギンガのせいでパラレルワールド大阪になってる。
主題歌はUru「振り子」。
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