原田マハ「アノニム」(2017 角川書店)を読む。アンリ・ルソー「夢」、ピカソ「ゲルニカ」と来て今度はジャクソン・ポロック(1912-1956)の「ナンバー・ゼロ」と呼ばれる実在しない架空の絵画が主役。
今回は香港が舞台。いきなり香港民主化デモに揺れる香港の高校生が登場。なんか、ラノベっぽい。これまで読んだ原田マハにはなかった登場人物たちのイラストも掲載。
どうやらポロックがNumber 1A(1948)以前に書いた(かもしれない)Number 0がオークション(香港)に出品されるらしいということで、世界中の収集家(モンテカルロの富豪など)がオークションを見守る…という状況。
そしてアノニムという謎の集団。盗難に遭った美術品を盗み返す義賊?!
原田マハの小説に出てくる人はみんな金持ちかエリート。このグループの人々もエリート?
香港の難読症ディスレクシア少年(ポロックをまったく知らないままアクションペインティングで画を描き始めた)に、贋作を依頼し、オークションの「ナンバーゼロ」と入れ替えるだと?!
この小説を読んだところでポロックの生涯や作品や哲学を知ることはできない。
わりとライトな読物。「ルパン三世」や「コンフィデンスマンJP」のテレビ回のような、30分ほどのドラマ脚本のような。
今回、原田マハの絵画アート小説を3本立て続けに読んだ。「楽園のカンヴァス」こそ新鮮な驚きがあったのだが、その後は不発。同じ時代の人気作家の本も読まねばという義務感もあったのだが、これをもってしばらく原田マハの本から離れることとする。
0 件のコメント:
コメントを投稿