2021年12月1日水曜日

シェイクスピア「お気に召すまま」(1623)

ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare 1564-1616)喜劇「お気に召すまま As you Like it.」を読む。これはどんな話なのかまったく知らなかったので知っておこうと思って。福田恆存訳の新潮文庫版でよむ。

死後に出版された戯曲全集に収められたのが初出。1599-1600年ごろ書かれたものらしい。
シェイクスピアの多くの戯曲が種本があるように、「お気に召すまま」はトマス・ロッジの怪奇小説「ロザリンド、即ちユーフュイーズ物語拾遺」(1590)に原型がある。そしてそのオリジナルもチョーサーが「カンタベリー物語」を書くために保存してた「ギャミリン物語」(1400年、作者不詳)の原稿による。

アーデンの森をさ迷う人々たちの会話で楽しもうっていうドラマ。フレデリック公爵は公位の簒奪者として館にいる。追放された公爵とその取り巻き貴族と廷臣は洞窟に住む。フレデリックの娘ロザリンドと追放された公爵の娘シーリア。森番羊飼いたち。騎士ローランド・デ・ボイスの息子オリヴァージェイキスオーランドー(ロザリンドと恋仲)。それぞれが森の中で出会ってシェイクスピアらしい格言っぽいセリフを吐く。

よく話が呑み込めない。理解するにはじっくり読む必要がある。意外に登場人物が多い。シェイクスピア悲劇は普遍性を感じるけど、喜劇は日本人にはいまひとつよく意味がわからない。男装してるロザリンドに恋人が気がつかないとか、この時代ならではの大らかさ。その辺はつっこんではいけないらしい。
フレデリックのお抱え力士チャールズとオーランドーの相撲大会?!なんだそれ。読んでて調子の狂う福田訳。

正直それほど面白いと感じなかった。これを面白い舞台作品として上演するには演出家と役者たちにかなりの技量が必要だと感じた。この作品は発表されてから評価されたことはあまりないらしい。

だがそれでもやっぱり声に出して読みたくなるのがシェイクスピア。日本語訳であってもそのセリフはどれもが独創的で思わずニヤッとしてしまう面白さ。これから日常会話でシェイクスピアから引用したセリフをさらっと繰り出したい。

ロザリンド「恋は狂気にすぎない。だから恋をしてる人間は狂人と同様、暗い部屋に閉じ込めて鞭をくれてやるに限る」

タッチストーン(道化)「器量良しの上に身持ちまでも良いと来た日には、砂糖に蜜を掛けたるがごとしだ」「身持ちの良さを淫売の悪にくれてやるのは上肉を汚い皿に盛るようなものだ」

ロザリンド「醜い上に醜い事は、醜いくせに他人を小馬鹿にする事だ」

次は「じゃじゃ馬ならし・から騒ぎ」を読みたい。

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