2021年10月13日水曜日

ヒッチコック「北北西に進路を取れ」(1959)

アルフレッド・ヒッチコック監督の「北北西に進路を取れ North by Northwest」(1959 MGM)を見る。有名な作品だけど未視聴だった。BSでやってたので初めて見る。

おそらくニューヨークが舞台だが、みんな歩行速度がやたらと速くて忙しそう。映画の冒頭からひたすら芋を洗うような人混みにつぐ人混み。人と人との間隔が狭い。周囲を急かしながら移動してる。タクシーを奪い合う。それが50年代末のニューヨーカー。アメリカが史上最も好景気だった時代。

広告業の重役ロジャー(ケーリー・グラント)はホテルロビーから二人組の男に拉致され豪邸に連れていかれる。どうやらキャプランという男と間違えられたようだ。「どこまで情報を知ってる?」「情報の入手経路は?」と訊問される。ジャンル的にスパイスリラー。

人を間違うようでは諜報機関としてしょうもないレベル。失格。
そこまで行動を調査してるなら顔写真ぐらいあるはず。なぜ本人かどうか比較しない?身長も思ってたのと違うとか言ってるのに?なにしとん?主人公よりも見てる側がイライラする。

そして酒を飲まされ車に乗せられ崖から転落死したことにさせられる。これがアメリカ人のイメージする謀殺。下山事件でもケネディ暗殺事件でもロッキード事件でも見た要素。
それにしても警察官もホテルのベッドメークも仕事が適当で恐ろしく想像力と知能が低い。なんで日本はこんな国に負けた?

ロジャーを拉致した国連のタウンゼント氏は偽物だった。本物は国連ビルロービーで衆人環視の中で背中に投げられたナイフで刺殺。なんだそりゃ。それで確実に仕留めるとか忍者かよ。

シカゴ行き特急でケンドール(エヴァ・マリー・セイント)に匿われる。この女もスパイ。
なんで立派な身なりのちゃんとしたアメリカ市民よりもスパイのほうが自信満々堂々としてる?当局の目を恐れてもっとビクビクしてろ。
ケンドールの指示で何もない平原のバス停に降りたロジャー。今度は農薬散布飛行機に追われる。もうヤメテ!

東西冷戦スパイ合戦に巻き込まれた無実の市民の話。誰も自分を守ってくれない。あげくに殺人容疑をかけられ逃亡者。アメリカも昔から全体主義国家。
国家権力に追いかけられる逃亡劇サスペンススリラーは面白いに決まってるが、バカすぎる警察を見るのはストレスがたまる。

そして敵一味のアジトのあるサウスダコタ・ラピッドシティーラシュモア山へ。アメリカの山の中の豪邸ってほんとに飛行場があるのかよ。

ここからがダルいw もっとテンポよくチェイスシーンとアクションにしてほしかった。
しかし、ワシントンらの巨大モニュメントを降りる最終決戦シーンは画的に面白い。
ちなみに、自分がこの映画を初めて認識したのが第8回アメリカ横断ウルトラクイズの再放送。第7チェックポイントのラピッドシティー・ラシュモア山。
ここでの敗者に課された罰ゲームが「北北西にまっすぐ帰れ」。途中で土地所有者から銃で「出て行け!」と脅されるとか酷い。これも仕込みだと信じたい。

ネイティブアメリカン居留地の聖なる山に、征服者である歴代大統領の顔を掘るとか鬼畜の所業。元の状態に戻して返還するべき土地。世界史を学べば学ぶほどアメリカはクソ野郎。

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