2021年6月8日火曜日

能年玲奈「私をくいとめて」(2020)

大九明子監督の「私をくいとめて」(2020)を見る。主演が能年玲奈(のん)の主演作だから。
能年主演映画を見るのは「ホットロード」以来。大九監督の前作「勝手に震えてろ」は松岡茉優主演だった。いずれも綿矢りさ原作を「あまちゃん」キャストで制作。

能年の役どころはアラサーおひとりさま。もうアラサーの役とかやるのか。べつにアラサーがひとりで過ごしてても何も問題ないだろ。危機感を持った日本政府の少子化対策なのか?ちなみに綿矢の夫はキャリア官僚らしい。もう綿矢の本を読まなくなったw

このヒロインは興味持ったことを色々やってるのだが常におひとりさま行動。冒頭からずっと中村倫也(声)と対話してる。心の中のイマジナリーフレンド的存在とずっと対話してる「おひとりさま」。対話の独り言が声でかい。あいかわらず喋り方が個性的。
ヒロインがいい部屋に住んでる。部屋で呑んでる酒がリモンチェッロ。これ、浜辺美波もドラマで呑んでた。

ヒロインがわりとちゃんとした職場で働いてる。男性社員に心の中で強めのつっこみを入れている。変わり者毒舌女子はつねに綿矢の分身。
上司が片桐はいり。あんべちゃん。
同僚が臼田あさ美。この人もだいぶ個性的な風貌になってきている。こういうやりとりは女子しか書けない。

取引先の若手営業社員林遣都がなぜか部屋に食事を受け取りにきてる。部屋で食事せずに持って帰る。一体どういう関係だ?と思ってたら1年前を回想。ご近所らしい。コロッケ店に並んでる男とふつうに爽やかに出会ってる。ハニカミ年下男子。
変わり者おひとりさま31歳でも爽やかイケメン男子とふつうに付き合えてんじゃん。能年(撮影当時26歳)ふつうにかわいい。能年がふつうに恋愛してたら悲しい。

温泉での演芸ショーで女芸人にたいして無礼講すぎる客に怒り震える能年シーンが哀しかった。自分も日常わりと同じような事よくある。軽薄でずうずうしいのにクレーム入れて増長してるやつらコ口したい。このヒロインみたく不愉快な体験を思い出して急に怖い顔になってることがある。綿矢、闇ありすぎ。急に女子の闇映画。

なぜか急にイタリアにひとり旅(コロナ前)するヒロイン。飛行機内のありとあらゆることにつっこむ。飛行機が揺れただけでいっぱいいっぱい。なんだこのヘンテコ映画。映画では見かけない新鮮演出。

大瀧詠一「君は天然色」が劇中でヒロインが聴いている。主題歌にもなってる。昨年からちょっとしたリバイバルヒットだった。自分もこの曲大好き。
ローマにいる女ともだち橋本愛はイタリア人と結婚して妊婦という役。橋本愛と能年玲奈のふたりシーンをみれば誰でも感涙。ひさびさ対面した二人はリアルに照れて目を見れなかったそうだ。微笑ましい。

ヒロインはお金に困ってない。欲しいものはなんでもすぐ買えてる。不安定なのは心だけ。
声Aって何なん?AIなん?まるで「2001年宇宙の旅」のHAL9000みたい。

林遣都がぜんぜん出てこないと思ってたら、イタリアから帰国後急接近。これぞ爽やか男女の正しい発展のしかたという感じ。東京ラブストーリー。

ひとりでいるのが楽。一緒にいて楽な男となら…思ったけど、いっしょにホテルに泊まる段になって激しく恐怖を感じ絶叫独白。逃げたい。やはりそこに闇。何なん?綿矢。
ヒロインがほぼ「勝手に震えてろ」ヒロインと同じ質感だった。女子の闇の深みのわかりみが深み。
女子高生作家だった綿矢が早大に進学したとき、同級生たちから話しかけられなかったんじゃないか?と心配になる内容だった。調べてみたら綿矢は30歳のときに結婚して母親になってる。

大九明子と綿矢りさは若手女優作品に合っている。個性的でしっかりちゃんと面白いものができている。感心しかない。

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