2021年1月20日水曜日

桜井日奈子「殺さない彼と死なない彼女」(2019)

「殺さない彼と死なない彼女」(2019)という映画があるので見る。KADOKAWAとポニーキャニオンによる配給。原作マンガがあるらしい。主演は間宮祥太朗と桜井日奈子。監督脚本は小林啓一。

間宮祥太朗が高校生活に何も関心を失い無感動で死んだような男。話しかけてくるクラス女子との会話がまるで相手に合わせる感じがない。「殺すぞ」が口癖。
この女子役に見覚えがあった。調べてみたら安倍乙というグラビアアイドルだ。ひさしぶりに見た。石原さとみそっくりだ。激しく拒まれてるのにすごく積極的な女子だ。調べてみたら鎌瀬犬子(噛ませ犬)という役名だw

桜井日奈子はリスカ常習と噂される暗い女子。教室に飛び込んで叩き殺された蜂の死骸をゴミ箱から拾い出して埋めにいく。そのことに間宮が関心を持つ。
自分が嫌い。死にたいという女。じゃあ殺してやるよという男。女「そういうできもしないつまらないことを聴かされると余計死にたくなる。」間宮と桜井が会話するごとにため息してて笑う。
これは以前から思ってることだが、主演の桜井日奈子がぜんぜんかわいくない。だからこそぴったりな役だったかもしれない。

地味な恒松祐里と、きゃぴきゃぴしてる堀田真由は、登場した瞬間から魅力的。このふたりの会話とやりとりも魅力的だし見ていて楽しい。

箭内夢菜もヤバいぐらいかわいい。ゆうたろう(すっごいなで肩)に会うとただひたすら「好き♥」を繰り返す。喋り方が大和撫子だ。「今日は昨日よりアナタのことが好きだわ♥この調子で行くと明日はもっと好きだわ♥」
男がそっけない。男「君には僕よりいい人がいるよ」女「あなた以外の誰かで幸せになるくらいなら、あなたのそばで不幸になりたいわ」言うことが超絶かわいい。
これは高校生群像劇か何かか?開始10分で見るのがつらくなる日本映画が多い中、この映画は開始10分で引き込まれた。脚本と演出が良いのかもしれない。ほぼ戯曲。

同じ学校の生徒を殺したらしいサイコキラー(中尾暢樹)の動画が拡散。このサイコキラーが終盤になって出てきて唐突に映画の雰囲気を変える。ええっ?!そういう時系列?なにがなんだか。

この映画は見てとてもよいと感じた。たぶん脚本監督のセンスがとても良い。面白くしようと頑張ってる感じがなんらしないところが、むしろ逆に異常に面白い。
すごく画面のコントラストが低い。カメラがゆらゆら揺れている。あえてなのかもしれない。あえて逆光で撮ってるシーンが多い。奥華子の音楽も良い。

登場人物たちの会話劇が素晴らしくて予想を上回る。静かな笑いと静かな感動。今年見た映画で自分的に一番面白い映画だった。もっと早く見ればよかった。
そして、箭内夢菜のことがますます好きになる映画。

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