2020年10月8日木曜日

R.A.ハインライン「月は無慈悲な夜の女王」(1966)

ロバート・A・ハインライン「月は無慈悲な夜の女王」を1976年矢野徹訳ハヤカワSF文庫(2010年新装版)で読む。この小説の存在は高校生の時から知っていたのだが未読だった。ついに読む日が来た。679ページの大長編。
THE MOON IS A HARSH MISTRESS by Robert A. Heinlein 1966
西暦2076年7月、月は地球の流刑地として、資源豊富な植民地として発展。地中の凍土をから氷を採掘し水を得て小麦を生産し地球に送る星として搾取されていた。
月の地名はロシアの地名だったり香港だったりする。罪人の子孫と希望植民者で3世代。

コンピューター技術者マニーは、月面のすべてを制御する対話型インターフェース巨大AIコンピューターが不思議な悪戯とジョークをするようになった修理を依頼される。日々膨大な知識を吸収したコンピューター「マイクロフト」(通称マイク)の頓珍漢なジョークに批評を加えつつマニーとマイクは親友になる。

そして美女ワイオミング(通称ワイ)、教授と3人で月の支配者層と戦い革命を起こす決意を固める。この分厚い本の前半分はひたすら世界観と登場人物キャラの半生の詳しい説明。

この作品はアメリカではハインラインの人気作第1位らしい。それは独立戦争を戦った建国神話を持つアメリカ人ならではの嗜好。
世界観が壮大で、地球と月の環境の違い、政治経済、細かい箇所にまで気を配ってるかもしれないが、会話のほとんどがどうでもいい。もっと適当に削って本のボリュームを4分の1ぐらいにしてくれたら面白く感じられたかもしれない。
読んでも読んでも話が期待通りに面白くなってくれない。進まない。

それにぜんぜん頭に入ってこない文体。繰り返しそのフレーズを読んでみても意味が分からない箇所が多い。多すぎる。おそらく訳のせい? それは多くの日本人読者も感じてることらしい。
結果、意味がわからず日本での評価が分かれている。自分もなんとか2週間ぐらいかかって頑張って読んでみたものの、読後の満足感はない。それほど傑作という感じはなかった。

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