2020年10月7日水曜日

映像研には手を出すな!(2020)

劇場版「 映像研には手を出すな!」(2020 東宝)を見て来た。本来であれば5月公開だったのだが世界的災厄のせいで9月25日になってやっと公開。友人と公開14日目にしてやっと見て来た。茨城県までロケ地を見てきてから鑑賞。

人が少ないであろう日曜夜の最終回で見て来た。自分たち二人の他に若い男がぽつんぽつんと二人いたので合計4人だった。東京西郊のシネコン。ここ来るの西野七瀬卒業コンサートライブビューイング以来。

製作はROBOT。監督脚本は今年映画4本が公開されている売れっ子監督英勉。4本ってすげえな。そんなペースで映画って作れるものなのか?
正直、今まで見たあらゆる乃木坂ドラマで一番面白かった。主要キャストの齋藤飛鳥、梅澤美波、山下美月の3人がそれぞれ個性的でビシッとハマっていた。劇場版も期待して見る。

原作があるらしいのだが自分はまったく見ていない。アニメは少しだけ見た。アニメ版はぜんぜん好きになれなかった。とくに浅草氏は声を聴くとブサイクイメージしかできない。まったく萌えを感じない。正直ぜんぜん魅力を感じない。

この実写版は全員好きになれる可愛らしさw 演技も上手。長年ずっと見て来た3人なので若手実力派女優のようにそこにいる感覚w この3人は自分の中ではもうとっくに大スター。
この映画を面白いと感じる理由はおそらく「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」とか「究極超人あ~る」とか「コクリコ坂」みたいな世界観高校部活動ものが好き。

文化系部活動を全力でやってるやつらがいる高校は楽しいに決まってる。そんな国は世界で日本だけらしい。
文化系と体育会系は同じ民族でも人種がまったく違うと思ってる。きっと、カトリックとプロテスタント、スンニー派とシーア派ぐらい違う。
アニメ制作に青春をかける女子高生3人の物語…というのは大げさ。弱小文系部活動と、その活動を阻止し統廃合しようとする生徒会との争い…という名の茶番劇。

この手のアニメや漫画を見ていると日本って平和でいいなと思う。高校生である彼ら彼女らにとって最初に経験する組織が生徒会。
日本のアニメで日本の高校を知った海外の人は生徒会を恐ろしいものとイメージしているのかもしれない。芝浜高校も強大な権力と司法警察のようなものまで持っている。
道頓堀会長役の小西桜子がかわいい。この会長はわりと普通の人。なぜか映像研の監視に執着し全力でのめり込むw ヒステリックになって取り乱していく様子がおかしいし可愛らしかった。
文化祭に向けた徹夜を禁じておいて生徒会が徹夜な件で「正義」という言葉を出したのは可笑しかった。アニメを作るやつが徹夜しないわけないという謎論理にも笑った。

生徒会の切り込み隊長福本莉子もかわいい。「事件は会議室で起こってんじゃない!現場で…」の「踊る大捜査線」パロディネタとか、今の高校生は知ってるの?

原作ではナイジェリア人という設定のアフリカ系生徒会役員はグレイス・エマ。この人はガーナ人ハーフらしい。こいつが実質生徒会最大の敵。この役はかなり見せどころもあって良い役。みごとに演じきっていて感心しかなかった。
今回の劇場版にはなぜか浜辺美波も登場。浜辺の意味不明な投入には笑った。「わたどう」で昼ドラみたいなキャラを見た直後だっただけにこの無駄遣いには驚いた。熱い全力演技が一流女優のそれ。

ちなみに浜辺美波は気象研究部。浜辺のアレがドラえもん「台風のフー子」パロディだと気づいた人は何人いただろうか?w このアレが最後にちゃんと伏線になっていて感心した。
映画冒頭でこれまでの生徒会と映像研の間にあった事件を語って聞かせるシーンも黒澤明のパロディかなにかか?

水崎氏の女優母が松本若菜。この女優は秋元真夏の個人PVにも出演していた若手女優だったのだが、もう高校生の母親役なの?それは早すぎない?この人は人口50万しかいない鳥取県出身女優。鳥取は日本のワイオミング。

音響部百目鬼(桜田ひより)が有能。こいつと歴代音響部が集めた音源は劇場音響で聴く価値がある。
自分、つい百目鬼恭三郎って評論家いたよね?って友人に聴いてみたけど、工学部卒の友人は知らなかった。
ロボット研に「たかなし」さんという子がいるのだが、有名難読姓名小鳥遊とテロップされていた。
この映画を見て、なぜ芝浜高校なのか初めてわかった。各高校生登場キャラがみんな落語家みたい。

齋藤飛鳥の演技はさすが舞台経験豊富な乃木坂1期生だと感じた熱演。ひょっとすると舞台「じょしらく」の経験が活かされたのかもしれない。とつぜんの「はじめてのおつかい」ネタも笑った。生徒会代行借金取りになりきるのも笑った。
山下美月はみごとにアイドル女子高生水崎氏だった。浅草氏とのコンビ芸が素晴らしい。「それが私たちが浅草さんを見た最後でした」とか、しれっと嘘をつくの何度目だw

有能策士プロデューサー金森氏の梅澤美波はキレっぷりがとても良い。風情がサムライ。映像研との協力関係を無効化しようとするロボット研に「死刑ですね」というシーンはぞくぞくしたw
意味不明な文化系部活動があれだけ多いと、高校としてかなりのマンモス校のような気がする。あれだけピンポイントな趣味で仲間が同じ高校で見つかるとは考え難い。
そのムダな部活動がなにげに最後に活かされていた脚本に感心。

各キャラにちゃんと伏線回収があって感心。結果、映画として見て爽快感。
この映画は予想外に感動的だったし面白かった。何もかも楽しかった。傑作と呼んでいいのかもしれない。
大拍手。ぜひ劇場へ足を運んで観てほしい。
高校部活動はこれぐらいムダに暑苦しく楽しく過ごしてほしいというメッセージを感じた。

今年の夏、日本中の高校生たちが青春の成果を発表できないという悲劇が生まれたわけだが、それは先生と親と大人たちの努力不足による。高校生たちに発表できる場所を用意できなかったことは大人たちにとっても痛恨事。

主題歌は主要キャスト3人による「ファンタスティック3色パン」。この3人の物語はまだまだ続いてほしい。

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