2020年9月23日水曜日

安部公房「R62号の発明・鉛の卵」

安部公房の昭和28年から32年までに発表された12本の短編を集めた新潮文庫版「R62号の発明・鉛の卵」を読む。
もう安部公房はいいかな…と思っているのだが、2年前の秋にBOで100円で買って積んでおいたのをやっと読む。自分が手に入れたものは平成27年第41刷。

これ、カリスマ作家芸人又吉が近年オススメしたらしく、若者の間でもよく読まれているようだ。では、順に読んでいく。

R62号の発明(文学界 昭和28年3月号)
失業し運河に飛び込んで死のうとしていた男が呼び止められ脳に電極とアンテナを埋め込まれるブラックなSF。たぶん労働運動と左翼運動が盛んだった昭和20年代の世相を反映してる。

パニック(文芸 29年2月号)
これも失業した男が巻き込まれる話。ちょっとミステリーっぽい。

(改造 昭和29年3月号)
これは短編純文学?

変形の記憶(群像 昭和29年4月号)
満洲支那戦線?コレラになって見棄てられ殺され幽霊となった兵士の話。短編ファンタジー映画にありそう。

死んだ娘が歌った……(文学界 昭和29年5月号)
少女が主人公の短編。だが、冒頭で自殺し幽霊になる。哀しい女工プロレタリアート文学?

盲腸(文学界 昭和30年4月号)
失業してる男は家族を養うために人体実験の仕事しかないのかよ。

(文芸 昭和30年7月号)
これが一番困惑したw なんで棒なん?

人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち(新日本文学 昭和31年1月号)
読んでて普通に資本家と労働者を連想。

(群像 昭和31年3月号)
ちゃんとした仕事をみつけるのは大変だと思ったw

耳の値段(知性 昭和31年5月号)
六法全書は金もうけの指南書…というのは名言だと思ったw

鏡と呼子(文芸 昭和32年1月号)
田舎に赴任した教師と周辺の人々との軋轢?やはりよく意味がわからないのだが、読んでて面白くはある。

鉛の卵(群像 昭和32年11月号)
「鉛の卵」の中で眠ったまま80万年後に泥炭層のなかから掘り返され目が覚めた男の短編SF小説。これも面白く読めた。自分、安部公房がSF作家でもあったということを今日まで知らなかった。

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