2020年9月15日火曜日

金城武「K-20 怪人二十面相・伝」(2008)

金城武主演映画「K-20 怪人二十面相・伝」(2008 東宝)を見る。こんな映画の存在を今日までまったく知らなった。ROBOT、日本テレビの制作。脚本監督は佐藤嗣麻子

これ、あくまで江戸川乱歩は原案。北村想「完全版 怪人二十面相・伝」という小説が原作。
第二次世界大戦が回避され華族制度が存続する昭和24年パラレルワールド帝都東京が舞台。フィリップ・K・ディック「高い城の男」みたいな?乱歩作品はそれぐらい改変しないともう無理。

ニュース映像ふう「第二次世界大戦は回避された」は「二度目の大戦は」と言えばよかったのにと思った。
だが、だれも実在の人物とか出てこないパラレルワールドファンタジー世界に「時代考証」とか言うやつなんなの。フィクションって言葉知ってる?ファンタジーって知ってる?ひょっとしたら「もし今度世界戦争になったら第2次世界大戦とでも呼ばれるんじゃね?」って事前に人々の間で盛り上がってた可能性もあるのに。

主演の金城武は怪人20面相でも明智探偵でもなく、事件に巻き込まれた憐れな青年遠藤平吉。鳩を愛するサーカス団員青年。やってる曲芸が命がけで見ててめちゃ怖い。
この人の日本語は確かに気になるのだが、そこを突っ込む日本人は意地悪としかいいようがない。

サーカス団員として天才的な身のこなしを見込まれた貧しい金城は、カストリ雑誌の殿村(鹿賀丈史)から羽柴侯爵家の令嬢葉子(松たか子)の結納パーティー写真を撮ってくることを依頼される。葉子は明智と婚約中?
会場で怪人20面相と間違われ捕らえられた金城は取調室でボッコボコにされる。切ない。
これぞ昭和の警察。暴力警察は平成になるときに粛清して全員シベリア送りにするべきだった。

全国指名手配され惨めな金城はスラムで暮らす親のいないこどもたちを助けるために泥棒リーダー源治(國村隼)に弟子入り志願。だが、20面相と渡り合う泥棒心得が書かれた本を与えられる。そんなもんで?忍者か何かか? 世界観は良いのだが少年漫画っぽい。
明智小五郎は仲村トオル。小林少年は本郷奏多。今と大して変わってない。
しかし、こいつら全員が金城青年の敵で悪人。少年探偵団ですらスパイのような質感。

この映画もおそらく上海で撮影されている。あと、金城パルクールアクションは北九州や炭鉱跡などで撮影。ロケーションとセット、VFX技術と素晴らしさに圧倒される。とても良い映像が撮れてる。
逃走とアクションシーンでもとてもいい映像が撮れてる。自分もあんなふうにシュルシュル伸びるロープで自由自在にビルを登り降りたい。

公開当時31歳の松たか子さんの入浴シーンがあってびっくりw この松たか子嬢は天然。コメディエンヌ女優の本領発揮。ツッコミどころも「良家のたしなみ」で解決。松さんはどてら姿も似合う。「HERO」のころの松さんを思い出した。
脚本が停滞し、演出上できの悪い箇所も多いように感じた。しかし、予想外にハチャメチャで逆に楽しかったし面白かった。ラストは「未来少年コナン」の太陽塔みたいだった。
イライラもしたのだが、バカ娯楽作品に徹して78点ぐらい取ってる映画。
この映画は世間にもっと知られていい映画。もっと金ローとかでやってほしい。

子どもの頃読んだ怪人20面相と明智探偵が汚されたと感じてる人も多いようだが、自分から言わせると、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズも似たようなもん。子ども向けコンテンツをいい大人がツッコんでも意味ない。

主題歌はなんとオアシス「ショック・オブ・ザ・ライトニング」。場違いでよい。イマイチだった箇所を、音楽でアゲてくれることで忘れさせてくれるw

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