宮崎駿と鈴木敏夫制作の劇場公開ジブリ長編アニメ「コクリコ坂から」(2011)は以前に地上波で放送されたときに1回見たのだが、今回の金ロー放送で2回目をしっかり見た。
これはもともと原作マンガがあって宮崎駿&丹羽圭子脚本、息子の宮崎吾朗の監督での映画化。東宝、日テレ、電通、博報堂、ディズニー、いろいろとサポートして作られた。
ヒロイン声優を務めた長澤まさみによれば、まさみがいる場所でも吾朗は駿に怒られてばかりだったという。
昭和30年代の横浜が舞台らしい。戦後の経済成長が一番勢いがあったころ。ベビーブーマー世代が高校生になった時期。調べてみたら昭和38年。東京オリンピックの前年の物語。
高校生たちが詰襟学生服に制帽でいろいろ堅苦しい。この映画では男女共学になっているので戦後の学制改革も済んでいるころ。こどもたちも戦後民主主義の雰囲気であふれている。
高校新聞部がアサヒペンタックスSシリーズっぽい一眼レフカメラを使ってる。山手のわりと裕福な家庭の息子たちか?
講堂での討論会が時代を感じる。自由民権運動のころの壮士とか、ナチス前夜のドイツの党員と突撃隊を連想。いきなり歌を唄い出すとかインターナショナルの影響か?
ヒロイン海(長澤まさみ)の住む祖母の家が横浜の海が見える立派な庭のある家。今ならまっとうに働いていたのでは手に入れることが不可能な豪邸。
ここは下宿?明治に建った元病院で祖父は医者だったらしい。父は朝鮮戦争で帰らぬ人となった船乗り。海は父を悼んでポールに旗を掲げる。
多くの下宿人(女子のみ)を入れている。ヒロインは女中のように食事をつくったりして下宿を切り盛りし高校へ通う。
高校のオンボロ木造部室棟カルチェラタンの存続をめぐる高校生たちの闘いと、ヒロイン海と俊(岡田准一)が「もしかして兄妹?」というモヤモヤした危機を描いた横浜ノスタルジー長編アニメ。
以前見たときはぜんぜん面白いと感じなかったのだが、時代とストーリーをしっかり考えながら見たら、自分もカルチェラタンという魔窟にタイムスリップしたようにワクワクしたし楽しめた。
「うる星やつら2」みたいな文科系部活動を全力でやってる高校はとにかく楽しそう。
なんか、高校というより大学っぽい。昔の子は大人っぽかったのかもしれない。
この時期の日本を描くとなるともうすでにロケ地探しが難しい。横浜の海岸の道路の風景を撮影するのにセットを建てて当時の車を用意するのはほぼ不可能。昭和20年代と30年代はアニメでないとリアリティを感じられなくなってる。高校生が謄写版(ガリ版)原稿を書き印刷するシーンとか、もう実写ドラマではできないだろうと思う。
家庭の水道と流し台とか、トイレとか、家電とか、町の風景とか、駅と車窓風景、東京の会社ビルのエレベーター、どれもすごくリアルに感じられる。これから日本は当時を知ってる人がどんどん少なくなっていく。納得できるリアルな戦後を映画は描くことができるのか?今後が不安。
音楽が武部聡志さんだったって初めて知った。
主題歌は手嶌葵「さよならの夏 〜コクリコ坂から〜」。手嶌葵はヒロインの友人役で声優もやっている。
長澤まさみはこの映画でも風吹ジュン(母役)と共演してたことに初めて気づいた。
あと、ジョニーウォーカー黒ラベルを初めてロックで飲みながら見ていたら、下宿人女たちが同じ酒を持ち寄って飲んでいた。おおぉ?!って思った。
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