2020年9月9日水曜日

ゾディアック(2007)

デヴィッド・フィンチャー監督の「ゾディアック」(2007 パラマウント)を見る。以前からちょっとゾディアック事件にも関心があったけど、この映画はまだ見てなかった。長いし退屈だという声も聞いていてなかなか手を出せなかった。

1969年7月4日、独立記念日の花火の上がる夜、サンフランシスコ郊外ヴァレーホ市の住宅街から高校生カップルが湖畔のデートに向かう場面からスタート。
女子高生がアメ車運転して彼を迎えに来るとか、日本と大違い。なんか、犠牲者の事件直前の暮らしぶりから見せられるのちょっと嫌だな。

で、湖畔に車を停車してると不気味な動きを繰り返す謎の車が現れ男が無言で数発発砲。ここで車をバックさせ相手の車に衝突損傷させていれば…。
そして犯人自らヴァレーホ警察署へ通報。ふてぶてしい。

そしてサンフランシスコクロニクル紙のグレンスミス(ジェイク・ジレンホール)登場。この人は記者かと思ってたらイラスト担当?
エイブリー(ロバート・ダウニー・Jr)が登場。この人は編集者かと思って見てたら記者?編集部から殺人者から手紙が届く。「去年、ハーマン湖でも女を殺した」
そして暗号文を同封。これを解読すれば犯人自身の正体がわかる?!

犯人の要求は一面掲載だったのだが、編集部の偉い人々は判断が分かれる。現代では犯人側からのこういった要求は無視して警察に対応してもらうことになっているのだが、この当時は初めての事案でどうすればいいのかわからなかった。
で、新聞に掲載された暗号文を3日後にCIAより早く高校教師が解読。また暗号文が届く。

今度はナパで若いカップルが刺殺される。このとき初登場するゾディアックの姿がイッちゃってるw 完全にイカレ野郎w カップルは犯人を刺激しないように指示に従ったのに全身ぶっ刺される。意味がわからん。
そして今度はタクシーの運転手が射殺される。

トースキー刑事(マーク・ラファロ)登場。刑事にしては背も低く声が小さい。アメリカの刑事にしてはガサツさがない。
そしてスクールバスの子どもたちを殺す予告。市民生活が脅かされる。
指紋の一部、足跡、弾丸、薬きょう、脅迫の手紙、これだけ物証があってなぜ逮捕できない?!
そして犯人の生放送テレビ出演。ゾディアックを名乗る人物からの電話。これがもう混乱の極み。つぎつぎと現れる模倣犯…。いったいどれがゾディアックでどれがゾディアックでないのか?

赤ん坊を乗せて夜の国道。タイヤのホイールが外れかかってるからと男に呼び止められ修理されるのだがすぐ外れる。そしてまた男に話しかけられる。こんなん誰だって怖い。

エイブリーは情報屋と接触。1966年に女性が殺された事件もゾディアックによるものであることを知る。
次々ともたらされる情報に警察は翻弄されて行く。証言するやつらがもれなく得意げ。これは!という容疑者を追う。ひたすら刑事たちの会話。

リーという容疑者のしている腕時計がゾディアック?それはかなりヤバい!w 直接話を聴きに行くとやっぱり何か怪しい。弟夫妻も「クリスマス」のスペルミスがゾディアックからの手紙と同じと証言。

だが、筆跡鑑定師が別人だと証言。家宅捜索令状が取れない。いろいろ手段を変える。セカンドオピニオン鑑定士。人格が変われば筆跡も変るなどの意見を盛り込んで強引に捜査。なのにゾディアックの残した指紋、条痕も筆跡もすべて一致しない…。刑事たちも絶句。
トースキー刑事が気分転換で見に出かけた映画が「ダーティーハリー」だったことは興味深い。ゾディアック事件がなければこのシリーズは生まれていなかった。

事件を追うエイブリー記者が酒と薬物で荒れ果てていく…。4年経って別のローカル新聞社へ移動。刑事たちも捜査疲れ。
漫画家グレンスミスも再婚。しかしまだゾディアック事件の新聞切り抜きスクラップを続けている。記事の多くがエイブリーによるものであることに気づいてエイブリーを訪ねる。エイブリーはボートで生活するアル中廃人…。みんな無能。

結局、漫画家グレンスミスが取り憑かれたようにひとりで調査継続。
いつのまにかグレンスミスのこどもたちもゾディアック事件に詳しくなってるw 一方奥さんとはどんどん不仲。新聞社も辞めた。
映画関係者の容疑者の筆跡を追う。なんかサスペンスタッチだが、ゾディアック事件は今日まで解決をみていないのでグレンスミスは大丈夫なんだろうなと安心して見れるw
だが、この事件を追うものも人生を狂わされて行く…。

結局、最重要容疑者がこの事件の真犯人らしいのだが証拠は何一つない。もやもやしたまま。
だがこの映画は未解決事件を十数年追い続けるということがどういうことか教えてくれる。自分は見てよかったと感じられた。引きこまれた。

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