2020年8月13日木曜日

ハイドリヒを撃て!(2017)

「ハイドリヒを撃て!ナチの野獣暗殺作戦」という映画が2017年に日本で公開になってる。大戦中のチェコスロヴァキアのレジスタンスと「ハイドリヒ暗殺事件」を描いてる。お勉強も兼ねて見た。

チェコ、英仏の映画。ほぼ英語。監督脚本はショーン・エリス。原題はAnthropoid(エンスラポイド作戦、もしくは類人猿作戦)
まったく邦題と違う。日本の視聴者のためにわかりやすいタイトルを配給会社はつけないといけない。

第二次大戦中、亡命政府から二人の若者、スロバキア人のヨゼフ・ガプチーク(キリアン・マーフィー)、チェコ人のヤン・クビシュ(ジェイミー・ドーナン)がドイツに占領された祖国へパラシュート降下。このときヨゼフは脚に重傷。
接触者に通報されそうになり銃撃射殺。ふたりはプラハへ。そしてレジスタンス組織幹部と接触。ハイドリヒ暗殺計画の指令を受ける。

自分はナチスの重要人物というとヒムラー、ゲーリング、デーニッツ、ヘス、シュペーア、ゲッベルスとか一通り知ってたつもりだったのだが、ラインハルト・ハイドリヒ(1904-1942)を知らなかった。
ナチスの中でも最悪に狂った悪魔がハイドリヒ。「ユダヤ人問題の最終的解決計画」の実質的な推進者。

チェコ(ベーメン・メーレン保護領)もナチスに占領された他の国ようにほぼ地獄。対独レジスタンスは逮捕拷問の末に虐殺処刑される。恐怖が支配。
ヨゼフとヤン、組織はハイドリヒの行動を観察し計画を練る。プラハの街角で婦人のポートレートをローライフレックスで撮影してるフリしてハイドリヒの本部の出入り口の撮影などをする。活動家からメモを渡されたり、拳銃の手入れ、手投げ弾の工夫と工作。硬派なスパイ映画っぽい。

この作戦は連合国側がナチス幹部殺害に成功した唯一のもの。だが、ナチスの報復が地獄。この作戦のせいで信じられないほど多くのプラハ市民チェコ国民が報復として巻き添えで殺された。
犯人を匿ったと疑われたリディツェ村とレジャーキ村の住民は男子のほとんどが銃殺され村は消された。実行者たちも銃撃戦の末全員死亡。
ナチスを怒り狂わせたこの作戦は本当に必要なものだったのか?

この映画を見るとナチは全員殺していいと思える。とにかく酷い。ヴァイオリン学生のカレルへの拷問が最悪に酷い。ナチ映画はやはり見るもんじゃない。
教会での銃撃戦シーンがとても長くてアクション娯楽映画っぽくもある。

映画では描かれていないが、戦後逮捕された支配者カール・ヘルマン・フランクもクルト・ダリューゲも裁判の末に即刻処刑されてる。チェコ人はちゃんと報復した。

この映画を香港市民に見せたい。香港警察はもはやゲシュタポ。キャリーラムがきみたちのハイドリヒだ。
だが臆病な若者は祖国のために戦うなんてやめてとにかく逃げて生き延びろ。

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