2020年6月30日火曜日

コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの回想」(1894)

「シャーロック・ホームズの回想」を読む。2010年駒月雅子訳角川文庫で読む。
一昨年秋に100円で見つけて確保しておいたものをようやく読む。冒険、回想、帰還、の中でこの「回想」が一番100円で見つけやすい。なぜ?
THE MEMOIRS OF SHERLOCK HOLMES by Sir Arthur Conan Doyle 1894
では、順番に読んでいく。

シルヴァー・ブレイズ ダートムアの厩舎からレース本命馬が失踪し、騎手が死体となって発見された事件。ホームズは現場を見てだいたいのことがわかってしまう真の名探偵。これもなかなか面白かった。

ボール箱 ロンドンの善良な老婦人宅に、塩漬けにされた切り取られた人間の耳が2つ、箱に入れられ送り届けられた猟奇事件。アパートを追い出された医学生によるいたずらかと思われたのだが、真相は意外なものだった。これも佳作。

黄色い顔 現代の欧米なら普通に日常よくある話。だが、日本なら今もこの状況が身近に起こったらちょっと驚くかもしれない。という人情噺。

株式仲買店員 赤毛連盟のような就職詐欺事件じゃないかと予想して読んでた。似たようなものでそれほど驚けなかった。

グロリア・スコット号 学生時代のシャーロック最初の事件。友人の父親が元船乗りの男から脅されてるらしい。短編だがまるで「四つの署名」みたいな、壮大な半生と動機。短編推理小説ではなく、前時代的で壮大な伝記ロマン。

マスグレイヴ家の儀式書 執事の不審な行動、そして宝探し。英国の歴史。

ライゲイトの大地主 神経を病んだホームズ。休暇先の田舎でも強盗殺人事件の捜査に巻き込まれる。

背中の曲がった男 軍人の夫が殺害された事件。その場で気絶していた妻は、夫と激しく口論していたのを聴かれて容疑者に。これもやっぱり「四つの署名」みたいなインド時代の因縁。予想外の動物が登場。このオチは日本人には馴染みがないもの。

入院患者 開業医からの相談。ロシア人患者がふっといなくなって、また現れた。資金を出してくれた男がすごく怯えている…。これもホームズのシリーズでよく見るような、過去の因縁に起因する事件。

ギリシャ語通訳 これはほぼ現代の日本でも三面記事や夕方のニュースで聞くような恐喝事件。スッキリしないラストだが恐ろしい。

海軍条約文書 外務省に勤めるワトソンの旧友からの依頼。イタリアとの条約の原本が盗まれてしまった!これは「帰還」にある「第二のしみ」とほぼほぼ同じような設定。

最後の事件 宿敵モリアーティとホームズの最期。ホームズとワトソンの逃避行と、ライヘンバッハの滝でホームズのストックが発見されるまでの展開がサスペンスドラマとして完璧。今読んでも十分通用する。

これまで「冒険」「帰還」「回想」と読んできたけど、シャーロック・ホームズ短編はどれもレベルが高い。すべて納得できるストーリーになってる。

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