2020年6月29日月曜日

ヒトラー 〜最期の12日間〜(2005)

「ヒトラー 〜最期の12日間〜」(2005)は日本でもとても有名な映画なのだが、まだちゃんとすべて見ていなかった。ナチスを扱う映画はあまりに理不尽に人を殺す場面があるのであまり見たくなかった。

あの有名な「総統閣下はご立腹」動画のシーンだけは見たことあった。なのであのシーンが「だーいっ嫌いだ!」とか「ちきしょーめ!」「バーカ!」と聞こえる。

原題は「Der Untergang」(没落)。監督はオリヴァー・ヒルシュビーゲル。
配給会社は日本の観客のためにわかりやすいタイトルをつけないといけない。毎度のことながらぜんぜんイメージが違う邦題だ。

ドイツ敗戦の3年前、若い美人秘書が夜中にヒトラーの仕事場に招かれる。総統閣下は秘書を採用する。回想で「若くて愚かだった」と淡々と話す。原作は「私はヒトラーの秘書だった」という本。
ソ連軍がベルリンのすぐそこまで迫った状況でヒトラー総統の錯乱状態の最後の日々を描く。みんな逃げ出さなきゃいけないのにタンツムジーク。命令系統もマヒ。酒浸り。現実を見ない。

これがたぶんドイツ語圏の名優ぞろい。ブルーノ・ガンツのヒトラーがまさにヒトラーそのものにしか見えない。エヴァ・ブラウンも、ヒムラーもゲッベルスもほぼ本人に見える。

ナチスは最後の瞬間まで狂ってた。逃げ惑うベルリン市民、脱走兵だといってSSは老人を殺す。死ぬために集まったゲッベルスの妻と子どもたちとか、やっぱり見るも地獄な映画だった。
どうすれば生き延びられたのか?正解がまったくわからない。なんでこいつら降伏しないんだ?理不尽。グロシーンもある。

ひたすら滅びるベルリンを描く。哀れは感じる。だが、ドイツによって不幸にされた多くの人々のことを想うと特に同情はしない。同胞を殺す血も涙もないSSは全員死んでいい。できればスターリンもこのぐらいの地獄を体験してから死んでほしかった。

この時代を知ってるベルリン市民から見れば東京ははるかにマシだったかもしれない。ドイツ人にあの地獄を思い出させ忘れないようにするための映画だったかもしれない。
最悪な指導者を選ぶと国民も地獄を見るという教訓。

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